新建築2018年4月号 

 NEWS:台湾・桃園市立美術館コンペで、山本理顕設計工場が一等受賞。「丘」というコンセプトのもと、傾斜屋根とキューブ状展示室で構成。2022年12月開館予定。福岡県東峰村ゲストハウスの設計コンペは納谷建築事務所。2018年プリッカー賞はa+u1997年7月号で特集されていたバレクリシュナ・ドーシ(→wiki:B.V.Doshi)。

 欧米人もみんな、これくらい(↓)のスピードと発音で話してくれると、日本人としては助かる(笑)。


 EXHIBITIONは会田誠展 GROUND NO PLAN。「快適なスラムこそ究極の理想」としてスラム・クリアランスではなくスラム・アップグレイディングを提案。あと隈研吾のステーションギャラリーでの展示。
 BOOKSでは南後由和『ひとり空間の都市像』。アマゾンでも評判良いみたい。『近代エクステリアの歴史』は、日本の景観の歴史を考えるうえで興味深いが、「学会本」だからなあ(読まずに言うのもなんだがw)。海外ではいろいろな「モノの歴史本」が刊行されている。『世界史を変えたXX』とか。読み物としても工夫してくれると愉しいのだが。あと『まちを変えるホームシェアリング』(今年6月施行の民泊新法関連)など。

 東京港区郷土歴史館等複合施設(ゆかしの杜)。このあたりは昔よく散歩したものだ。



 太陽の塔内部再生プロジェクトを写真メインに12枚にわたって特集。万博オタ必見!。以前、鉄鋼館(→ブログ)で部分的に見た「生命の樹」が万博当時の姿をしっかり再現しているようだ。左腕部内部の写真が好いなあ。日経アーキテクチュア今年1.11号(→ ブログ)の特集と比較すると、二大?建築雑誌メディアの特徴的差異がよくわかるようになっている。

 続くページに東京タワー平成の大改修。うーん、こうやって東西大都市の旧シンボルタワーを見比べると、大阪のド派手好みが際立つw。外装はさほど派手ではないが、商業文化豊かな大阪と、質実剛健の武家社会の美学を引き継ぐ東京を象徴しているかのようだ。
 遠藤秀平[記事]は、アジール・フロッタン再生プロジェクト。浮かぶ難民避難所。前川國男がコルビュジエの事務所にいたとき(1928-30)、設計に加わったルイーズ・カトリーヌ号。

 ほかにも宇和米博物館やドットアーキテクツの千鳥文化、半蔵門ミュージアムなどなど。

 今月号は観光客ターゲットなのかな? カッチリ分ける必要はないが、新しい美術館や文化施設、商業ビルなど、一般人にも出入りしやすい建物を多く紹介する号と、出入りが限定される集合住宅・オフィスビルを多く紹介する号で分けてくれるのは良いこと。

 リノベーションといえば、新建築というより日経アーキテクチュアの領域かもしれないが、家屋の解体をできるだけDIYまたはローコストでおこなうには、という特集を組んで欲しいなあ。地方の空き家問題は大変で、少子高齢化の進行とともに、リフォームしても住む人がいないというのが大きな問題となりつつある。いかにDIYで解体し、使えるものを再利用に回せるか、解体業者の実態、解体作業の効率化、解体技術の最新動向などなど数多くの視点があるはず。



 文中敬称略。

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a+u Mar2018 

 a+u 3月号の特集は、新しい歴史の創造~第2回シカゴ建築ビエンナーレのその後。  2015年に始まったシカゴ建築ビエンナーレの芸術監督シャロン・ジョンストン(Sharon Jonston)とマーク・リー(Mark Lee)がゲスト・エディターを務め、前編ではおもに建築史家マイケル・ヘイズ(→wiki:K.Michael_Hays)との鼎談。後編では参加建築家の実作やプロジェクトを紹介。

 マイケル・ヘイズの言葉を少しだけ引用。
「建築の力を働かせるには、地道に形態分析を続けるしかない。形態をわかりやすく言い換えるのでも、ただ表面をなぞるような読み方でもなく、深く読み込むこと」。
「デザイナーにも歴史を学んでほしいというのは、そうしないと物事を別の角度から見ることができなくなるからです」「過去には今の私たちとはまるで異なる発想をしていた時代もあった」。
 これは建築デザイナーだけに求められることではないだろう。

 ざっとみて印象に残ったのは、中国の建築家たち。

 Zhang Ke(→archdailyタグ)が2001年に設立したZAO/Standardarchitecture、及びEmbaixadaによるチベット・ニャンゴウ・ボートターミナル(→archdaily関連記事)。ニャン川とヤルツァンポ川の合流する地点にある。ZAOについてはこちらも。

 あと、今年1月号(→ブログ)でも紹介されていたアーキユニオン・アーキテクツによるウエストバンド・アート・エキシビジョン・エリアのアート集団Chi She展示スペース(2016)。  外壁は、古い建物から回収した再生煉瓦をKUKA(→wiki)のロボットアームで組み立てている。
 アーキユニオン・アーキテクツはPhilip F. Yuanが2003年に創設した建築事務所。70人以上のデザイナーが在籍。ロボット技術や建築工業化といったデジタル技術と中国の伝統的文化の融合を目指している。

 最後は、高松宮殿下記念世界文化賞を受賞したラファエル・モネオ(→wiki)のインタビュー記事。
 コールハースがS,M,L,XLの各スケールを現代建築を理解するキータームとしたことを評価する一方、彼のビッグネス理論に賛同するには路面部分の処理についての熟考が必要、と説く。

 最後に「ウィキに頼る傾向を早く変えなくては!」

 みんな! wikiやarchdailyに頼らずa+uやGAを読もう!

 アメリカ中西部の中心シカゴは、1840年の段階で人口はわずか4500人だった。それが、ヨーロッパ移民の増大に伴い、70年に30万人にまで膨張。71年の大火、73年の経済危機を乗り越え、1890年には百万人を超え、1893年には電気の威力を大々的に示したシカゴ万博(→wiki)が開催される大都市となる。
 建築評論家のポール・ゴールドバーガーは、摩天楼の定義として①鉄骨造、②エレベータの設置、③垂直性の強調をあげている。この条件を満たす世界初の摩天楼は、ニューヨーク・ホーム・インシュアランスのシカゴ支店(1885)と言われている。設計者はウィリアム・ル・バロン・ジェニー(→wiki)。その後、オーディトリアム・ビル(1889/シカゴ)やウェインランドビル(1891/セントルイス)を設計し、シカゴ万博で中心的役割を担って「シカゴ派」を牽引したルイス・サリヴァン(→wiki)は、ジェニーの設計事務所で勤務した経験をもつ。アメリカの鉄鋼生産量は、1890年代にイギリスを抜いて世界一となった。
 ちなみに、先日観た『クレマスターサイクル3』の舞台の一つ、NYグゲンハイム美術館を設計したフランク・ロイド・ライトは、ルイス・サリヴァン事務所で頭角を現した。

 しかし、摩天楼の中心はその後、NYマンハッタンにシフトしていく。シカゴは周辺地域の製造業の衰退にしたがって1960年頃より人口減少が続き、1980年代前半には市域人口がロサンゼルスに抜かれることとなった。

 参考文献:


日経アーキテクチュア2018/1.25号 

 日経アーキテクチュア1月25日号は、特集が「プロジェクト予報2018」。東京・大阪だけでなく全国で進む建設プロジェクトを一覧的に見ることができる。

 比較的近場の福岡市では、天神ビッグバンというプロジェクトを推進中で、たとえばOMAパートナーの重松象平デザインによる天神ビジネスセンターPJ(福岡地所)は、2020年度竣工予定。JR博多駅前では今年3月にエスペリアホテル博多が、8月にはURによる博多駅前4丁目第2地区の整備計画が完成予定。
 今年秋には、ホークスタウン(→ブログ)跡地に建つMARK IS福岡ももち(三菱地所)がオープン予定で、店舗面積4万9千平米は同社にとって最大規模らしい。

 その他、国立国会図書館関西館新館、イオンモールいわき小名浜、東池袋1丁目シネコン(2600席!/2019年8月)など。

 1月11日号に引き続き、「建築を変える新技術・ビジネス100」の後編。
「東京大改造」「地方創生」「デジタル技術」をテーマに短い説明付きのキーワードを紹介。
「地方創生」では、「エリアリノベーション」で北九州市小倉の家守舎の取り組み。「アグリ建築」でNAP建築設計事務所(→wiki:中村拓志)が進める藤い屋五日市新工場IROHA village(菓子工場)。中村作品はpictaram#中村拓志でいろいろ見られる。
 デジタル化ではライゾマティクス(→ブログ)らによるデジタルツイン(物理世界をコンピュータ上に双子のように再現)の試み。ライゾマと経産省、Wired日本語版による3D City Experience Lab市川創太や新井崇俊らのhclab.による解析ソフト――時間地図、自動バレーパーキングなど。

 トレンディなキーワードをちりばめる一方で、「台風で屋根がめくれあがる」といった生なましい記事や事故写真、「大腸肛門病」という活字など、a+uではまず見ることのないものが載っているのが、素晴らしい。