日経アーキテクチュア2018/1.25号 

 日経アーキテクチュア1月25日号は、特集が「プロジェクト予報2018」。東京・大阪だけでなく全国で進む建設プロジェクトを一覧的に見ることができる。

 比較的近場の福岡市では、天神ビッグバンというプロジェクトを推進中で、たとえばOMAパートナーの重松象平デザインによる天神ビジネスセンターPJ(福岡地所)は、2020年度竣工予定。JR博多駅前では今年3月にエスペリアホテル博多が、8月にはURによる博多駅前4丁目第2地区の整備計画が完成予定。
 今年秋には、ホークスタウン(→ブログ)跡地に建つMARK IS福岡ももち(三菱地所)がオープン予定で、店舗面積4万9千平米は同社にとって最大規模らしい。

 その他、国立国会図書館関西館新館、イオンモールいわき小名浜、東池袋1丁目シネコン(2600席!/2019年8月)など。

 1月11日号に引き続き、「建築を変える新技術・ビジネス100」の後編。
「東京大改造」「地方創生」「デジタル技術」をテーマに短い説明付きのキーワードを紹介。
「地方創生」では、「エリアリノベーション」で北九州市小倉の家守舎の取り組み。「アグリ建築」でNAP建築設計事務所(→wiki:中村拓志)が進める藤い屋五日市新工場IROHA village(菓子工場)。中村作品はpictaram#中村拓志でいろいろ見られる。
 デジタル化ではライゾマティクス(→ブログ)らによるデジタルツイン(物理世界をコンピュータ上に双子のように再現)の試み。ライゾマと経産省、Wired日本語版による3D City Experience Lab市川創太や新井崇俊らのhclab.による解析ソフト――時間地図、自動バレーパーキングなど。

 トレンディなキーワードをちりばめる一方で、「台風で屋根がめくれあがる」といった生なましい記事や事故写真、「大腸肛門病」という活字など、a+uではまず見ることのないものが載っているのが、素晴らしい。

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日経アーキテクチュア2018/1.11号 

 久しぶりに図書館で日経アーキテクチュアを覗く。もう1月25日号が出ているというのに^^;、以下は1月11日号。

 目次に続くページで宮沢洋編集長による年頭あいさつ。宮沢洋は磯達雄とともに『建築巡礼』シリーズを続けていた人。昨年に引き続き「働き方改革」を深掘りし、新たな技術のリポートに注力するという。2月から各ジャンルの技術情報を発信する日経xTECHが始まる。「働き方」と「テック情報」を結んで業界を支援しようという姿勢には好感が持てる。

 クローズアップでは太陽の塔(→ブログ)の今年3月からの一般公開に向けての大修復。耐震強化で頂部に鉄骨フレームを増設したため、既存のエレベータは機械室不要の小型タイプに変更。エスカレータも鉄骨階段に変更。

 プロジェクト;東京駅丸の内駅前広場。都が27億、JR東日本が39億円負担。中心部では御幸通り遊歩道と同じく白い御影石で舗装。

 ワールドニュースではa+u1月号(→ブログ)と同じく、ジャン・ヌーヴェルのルーヴル・アブダビ。彼は過去にアラブ世界研究所も手掛けている。サディヤット島文化地区にはほかにグゲンハイム・アブダビ(F.ゲーリー)、ザーイド国立美術館(ノーマン・フォスター)、アブダビ海洋美術館(安藤忠雄)が建設予定。ポスト石油時代の生き残り策として着々と観光立国化を進めている。

 国内のニュースでは隈研吾によるComico Art Museum 湯布院。昨年10月より一般公開(知らなかった!)。村上隆や杉本博司らの作品を展示。発注者はネットサービスのNHN Japan。保養施設に併設しているという(羨ましい!)。鉄骨門形フレーム構造。直島・豊島のアート・アイランド化はベネッセが安藤忠雄と組んで始めた。企業の新たなメセナとしての地方観光開発・美術館建設という流れはもっとどんどん進めて欲しい。

 特集の「建築を変える新技術・ビジネス100」では「生産性革命」、「建築・産業法制度」、「意匠・計画」、「新素材」、「環境・エネルギー」、「防災・減災」、「ストック再生」、「インバウンド」、「スタートアップ」というテーマ毎に新技術やキーワードを短い言葉で紹介。詳しくは日経xTECHで、という感じかな。

 新設住宅着工戸数の減少、一級建築士の高齢化(50代以上が60%以上)といった業界の抱える問題を直視。
 五十嵐太郎が提唱する「リレーショナル・アーキテクチャ」。事例として2016年夏に福山に完成した「とおり町ストリート・ガーデン」を紹介。電柱・電線を隠すため7000本のステンレス・ワイヤをレースのように張った(YCAMのホワイエ展示もこれに倣ったのかな?)。

 新素材ではスティーブ・ジョブズ・シアター(TECH CRUNCH 9月の関連記事)にも使われたというCFRP(炭素繊維強化プラスチック)のほか、CNF(セルロースナノファイバー)、ETFE(熱可塑性フッ素樹脂)など。

 ガラス一体型デジタルサイネージ「インフォベール」や、キネストラル・テクノロジーと旭硝子が共同開発したHalio(ヘイリオーー温度・照度をセンサーで把握し、自動的に調光ガラスの色を変える)、自己修復コンクリートwith形状記憶合金。デルフト工科大ヘンドリック・ヨンカースが研究するバクテリアを使用する自己治癒コンクリート。

 インバウンド:IR(統合型リゾート)の動向では、シンガポールのIR開業による経済効果を2009年/14年で比較。簡易宿所(ゲストハウス)は約3万施設に膨らんでいる。アールストアのBook and Bed。たしか福岡にもあった。

 表紙と冒頭の2~4ページだけa+uっぽい写真をバーンと載せ、あとは業界の「苦い話」も含む現実的な記事満載という方向が良いのでは。あと女性購読者をどう取り込むか、だな。などと勝手な感想を垂れるアウトサイダーでした^^;。

a+u Jan.2018~最新のプロジェクト 

〇砂山太一のJacob+MacFarlane App。3次元グリッドを歪曲させ、歪ませたグリッドをそのまま鉄骨フレームや外装材のパタンにする設計を行ってきたJacob+MacFarlaneのデザイン・コンセプトを伝えるためのAR(拡張現実)アプリ。

「マテリアライジング展III 情報と物質とそのあいだ」CURATORS TV from CURATORS TV on Vimeo.



〇コールハース率いるOMAが改修計画を手掛けたフォンダコ・デイ・テデスキ(ヴェネチア/2016)。伝統的なマテリアルを残しつつ、絶妙なバランスでもって、新しい金属的なマテリアルを融合させている。

〇ヘルツォーク&ド・ムーロンによるウンターリンデン美術館(コルマール)増築(2015)。アルザスのコルマールは自由の女神像のフレデリク・バルトルディの出身地。昔、会社の出張のついでに立ち寄ったことがある。有名なグリューネヴァルト(→wiki)の「イーゼンハイムの祭壇画」が掲載写真に写っていた。

〇ヘザーウィック ・スタジオ(→wiki:Thomas Heatherwick)によるツァイツ・アフリカ現代美術館(Zeitz MOCAA,ケープタウン/2017)。1920年代建造の42本のサイロをリノベーション。内部は剥き出しのサイロの断面を活かしたデザイン。


〇レンゾ・ピアノのスタブロス・ニアルコス財団文化センター(新国立オペラ劇場+新国立図書館)はアテネに建つ。1万平米の太陽光発電パネル。

アーキ・ユニオン・アーキテクツ(Archi-Union Architects)によるコミュニティ・センター。中国四川省・祟州市道明の郊外に広がる菜園に建つ。パラメトリック・デザインと伝統的竹編み細工の融合。規模は小さいが「メビウスの輪」風とでも言おうか、サイトプランがたまらない形状。こういう先鋭的なデザインが地域の集会所に適用されるというのが、今の中国の"豊かさ"を物語っている。

〇all(zone)によるMAIIAM現代美術館(チェンマイ/2016)はブンナ―バーデリー家が設立した私立美術館。数百万枚の鏡面タイル。高さが床から天井まであるアピッチャッポンの巨大な『ゴースト・ティーン』が、ホワイトウォールを覆っている。

 archdailyにも、当美術館の写真が載っている。

〇最後に、アトリエ・ジャン・ヌーヴェルによるルーヴル・アブダビ。アブダビ沖約500mに浮かぶサディヤット島にある。
 建物のファサードは3900枚の超高強度コンクリート(UHPC)パネルによる仕上げ。直径180メートルのドームは8層(外側4層はステンレス、内側4層はアルミ張り)からなるモザイクレース。透過的3Dアラベスクとでも言おうか、模像(イコン)を排し、幾何学模様を極めたアラブ文化へのオマージュ。反復する幾何学模様(アラベスク)は、敬虔なイスラム教信者にとって、世界観の象徴である。
 ルーヴル・アブダビはGA JAPANの1-2月号「2017/18年の総括と展望(西沢立衛×平田晃久×藤本壮介×二川由夫)」でも話題に上っており、二川曰く、モザイクレースの天井はガラスが嵌ってなく、半屋外空間だそうだ。

【追記】
 アブダビといえば、ゼロ・カーボン都市計画「マスダール・シティ」が想い起されるが、まだ5%くらいしか完成していないらしい。いっぽう、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が、ロボットが活躍する未来都市「NEOM」の建設計画を発表している(←中東の砂漠に巨大な「ロボットシティ」~Wired2018.1.24)。