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インポッシブル・アーキテクチャー展(2) 

 インポッシブル・アーキテクチャー展(1)からの続き。

地下フロア
 ソ連関係の展示が目立つのは、ソビエトという気宇壮大なユートピア構想そのものが、政治的前衛化によって1910年代後半に実現しかけたものの、スターリンの独裁やナチ・ドイツとの想像を絶する闘いを経て、その後、アメリカとの冷戦に敗れて90年代初頭に潰えたという歴史を物語っているかのようだ。
 1970年の大阪万博でも、ソ連館はアメリカ館と人気を2分したと聞く。

 黒川紀章関連。農村都市計画のスケッチと模型。東京計画1961―Helix計画の大きな模型やドローイング。一軒家にこだわる日本人をむりやり超巨大高層建築に接続する試み、みたいなちょっと笑ってしまうところがある。ピエール=ジャン・ジルー (Pierre-Jean Giloux) による映像「見えない都市#Part1 Metabolism」(2015)は、現実に近い東京の景観の背後に、ヘリックス計画の超巨大らせん建築がそびえ立ち、桜の花びらにも死の灰にもみえる風花が舞っているというもの。じつに映画的な試みだ。



 磯崎新の東京都新都庁舎計画関連や安藤忠雄の中之島プロジェクトⅡ・アーバンエッグ2断面図など。

 マーク・フォスター・ゲージ《グッゲンハイム・ヘルシンキ美術館》CG映像(2014)は、a+u 2017:05~米国の若手建築家(→ブログ)で紹介されていた。



 藤本壮介「ベトンハラ・ウォーターフロント・センター」(2012)の模型。優しい感じでこういうの近所にあったらいいなぁとは思うけど、強風対策とかメンテとか大変そうだなぁ的な。

 でもって最後を飾るのは、3年前に他界したザハ・ハディッド(→wiki)の新国立競技場のイメージパースやCG画像。そういえば時間がなくて行けなかったが、上海にはザハ・ハディト設計のショッピングモールがあったな。
 役所に届けた書類の集積も展示されていて、実現まであと一歩だったことがうかがえる。なんとなくホドロフスキーのDUNE(→ブログ)を思い出したよ。

 ホドロフスキーの言葉を引用して〆ようかな。

 失敗が何だ?  だからどうした?  『DUNE』はこの世界では夢だ。でも、夢は世界を変える。



 文中敬称略。

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インポッシブル・アーキテクチャー展(1) 



 広島市現代美術館で開催中(2019.9.18~12.8)の『インポッシブル・アーキテクチャー展』に行く。

 2000年前後に、TOTOギャラリー間で開かれたアンビルト展を意識しているのだろう。図面と模型だけだったらちょっと退屈するだろうな、と想像していたが、映像作品やスライドショーがいくつが混じっていて見やすかった。特に3DCGを用いてアンビルト建築を都市映像のなかに構築してみせる試みは、良質の短編映画をみるかのようで愉しい。

 企画の趣旨は、建築家の卵たちや一般の建築ファンたちに、現実世界で成功した建築を参考にするのでなく、実現しなかった卓越した構想をみて想像力を養うとともに、優れた構想に「不可能」の烙印を押した現実の諸条件が何だったかを真剣に問い直すことを促す、ということかな。世界各地で大規模な(再)開発が進む時代だからこその企画。現実の広島駅前の再開発とセットで観ていろいろと考えてみるというのが望ましい態度なのだろう。

 本来なら世界経済を圧倒する勢いの中国が率先してこういう「ありえない」ものを実現に移していくべきなのだが、世界を総べる(かもしれない)習近平国家主席が2014年頃に「もう、奇妙な建築物はいらない」と発言したことの影響だろうか、米中経済戦争のあおりを受けて、中国国内でもおとなしめの建築が増えてきたみたいだ。

 過去に建築関連の本や雑誌で読んだようなネタが多くて新たな発見はあまりなかったが、記憶を強化するには悪くない。以下、目に留まったものをメモ。

1階フロア
・ウラジミール・タトリン(→wiki)関連では、第3インターナショナル記念塔の図面や、長倉威彦によるCGを使ってあたかも当地に実際に建っているかのように表した映像作品。
・カジミール・マレーヴィチ プラニート 1937年のパリ万博ソ連館には、ウノヴィス(→Artwords/artscape)の元メンバーらによる長大な「アルヒテクトン」が並んだ。「シュプレマティストのアルヒテクトン」。
 ロシアアヴァンギャルド建築については、こちらのサイト(→ロシア・アヴァンギャルドとその周辺/地球居住者のための将来のプラニート)に詳しい。
JR広島駅前のビッグフロントやエキシティ、さらにいずみのニュータイプ・モール、LECTの建築設計を手掛けたアール・アイ・エーの創設者、分離派建築会の山口文象(岡村蚊象)による「丘上の記念塔」(1924)。建物を支える構造体を地下に設置せず3方向に広がる「脚」が建物を支えている。
・万博記念公園に残る鉄鋼館などで知られる前川國男による東京帝国博物館建築設計図案の再現配置図や模型。
・ヤーコフ・チェルニホフ(→wiki)の『建築ファンタジー101のカラー・コンポジション(1933)のスライドショー。
 ほかにはブルーノ・タウトのアルプス建築や宇宙建築師など。

 奥の方には、建築家集団〈アーキグラム〉(→wiki)関連の展示があって、水戸芸術館での展示(2005年)を見逃した者としては嬉しい。脚のついた移動都市「ウォーキング・シティ」(1964)など。
 1970年の大阪万博もそうだったが、前衛の時代(→ブログ:『激動の時代の芸術展』)の建築構想はなんともSF的で想像力全開だ。2025年の大阪万博で岡本太郎の役割を担うのは誰なんだろう? 猪瀬直樹推薦で落合陽一か? もう、人選は決まっているのかな。
 長倉威彦らによるマイケル・ウェブ(Michael Webb)の「Drive-in House」の映像がイイ。 自動車の車体が高層集合住宅の一部をなしていて、えっちらえっちら壁面をのぼって自分が住んでいるところにすっぽりとおさまるというもの。「住居の拡張としての車」。マイカーに乗っているときは住居は使わないし、住居を使ってるときは車はいらないというところからの発想だろう。駐車場まで徒歩で移動する必要がない、というか駐車場そのものがいらなくなる。掃除するにしても部屋掃除と車内の掃除が一度でできる。極めて合理的だが、自宅でも土足が基本の欧米人らしい発想とも言える。

 『インポッシブル・アーキテクチャー展』(2)に続く。

JR広島駅周辺2019秋 

 広島市現代美術館で開催された『インポッシブル・アーキテクチュア展』と市内西部のショッピングモール2つ、広島駅前の再開発の様子をみるために広島まで日帰り旅行した。

 広島市内はひょっとしたら、2013年春の『路上と観察をめぐる表現史』展以来ではなかろうか。この日も日帰りで、朝早く出て、JR広島駅周辺をうろつく。



 まずはJR広島駅北口に出る。映っているのはホテル・グランヴィア。右側には広島テレビ。今年の春に完成したグラノードはこちらからみて広島テレビの裏手に立っている。



 北口の大通りから南側のエキシティの住宅棟、グランクロスタワー(地上46階/高さ163m/2016年竣工)をみた様子。森ビル都市企画が総合企画し、設計はアール・アイ・エーと戸田建設。施工は戸田建設。下階には商業施設が入り、5F~13Fは賃貸マンションで、上階の14F~46Fが分譲マンションになっている。



 グラノードはなんかいろんな意味でちょっと残念な建物だったな。エキキターレはないやろw。
 1階の一部が高速バスWILLERの待合室になっている。右側の建物は広島県医師会館。
 通りの向かいには、今回訪ねたLECTやゆめタウンの経営母体であるイズミの本社ビルが立っていた。ぜんぶチェックしたわけではないが、ゆめタウンの多くはJR駅から離れた郊外型ショッピングモール。ニュータイプのLECTも同様。そのいずみの本社がJR駅前近くに立っているとは。しかし、本社ビルは1階に小規模なゆめモール二葉の里が入っているだけ。広島駅周辺は今後、さらに再開発を進めるようなので、これから変わるのかな。



 2本の角は左がエキシティの住居棟。右がビッグフロント。JR駅ビルの屋上が駐車場になっている!。
 うーん、やはり、広島市は地元に自動車メーカーがあることが、都市計画に関わる意思決定に影響しているのだろうか。サービス業が大きな位置を占め、ウォーカビリティに配慮する福岡市とは、基本的な姿勢が異なるように思える。もちろんJR駅周辺部の不動産所有のあり方にもよるのだろうが。私も田舎住まいゆえ自動車利用者だが、地球環境のこともあるし、年のせいもあって^^;、公共交通へのシフトのほうに惹かれる。


 駅前再開発計画(→wiki)が進む南口にまわる。前回きた2013年春にはまだ、戦後の闇市の記憶を残す古いトタン屋根のアーケード街、愛友市場(→ブログ:JR広島駅周辺2013春)があった。
 今回訪ねたLECTの経営母体イズミの創業者、山西義政氏(→wiki)も、かつては広島駅前の闇市で戸板をひいて干し柿を売っていた。
 エキシティ商業棟の内部には、市場の記憶を留めた愛友ウォークが設けられているそうだ。


 こちらはJR駅南口の目の前に立つビッグフロントひろしま。行政的には広島駅南口Bブロック第一種市街地再開発事業。エキシティと同じく設計はアール・アイ・エー、施工は前田建設。西棟は地上52階/高さ197m/2016年竣工。


 核店舗はビックカメラ。前回は持参した自転車で市の中心部をざっと回ったが、今回は駅前の広電を利用して広島市現代美術館のインポッシブル・アーキテクチャー展へ。