小豆島2016秋~醤の郷 

醤の郷

 小豆島ではオリーブのほかにも素麺や醤油、胡麻油の生産が盛んだが、オリーブ以外については、素麺の原材料の小麦にせよ、醤油の原材料の大豆にせよ、胡麻にせよ、大部分を輸入に頼っているのが実情のようだ。

 小泉武夫の『醤油・味噌・酢はすごい - 三大発酵調味料と日本人 (中公新書) 』では、小豆島を、播磨平野のたつの市(旧揖保郡)と並ぶ関西の醤油・素麺どころとして紹介している。塩は内海湾の製塩でとれるが、大豆や麦の生産はあまり多くない。そのため、高橋文右衛門が、小豆島特産の花崗岩を積み出す船の戻りの便に、原材料の大豆・麦を積むというアイデアを起こして実行し(1804~)、これが当地の醤油産業の発展につながったという。醤油は素麺のつゆにも使用されたほか、瀬戸内で獲れた小魚を醤油で炊いた佃煮も特産品となった。

醤の郷 醤の郷

 今の教科書では定かでないが、かつて小学校では、「日本は資源のない国だから、ほかの国から資源を輸入し、加工して付加価値を付けて輸出するしか生きる道はないんだ!」と教えられたものだ。つまり、これは戦後日本の高度経済成長を支えた「加工貿易立国」モデルだ。その意味で小豆島は"加工貿易立国"日本の先駆者ともいえる。

 時間があれば、苗羽のマルキン醤油記念館にも寄りたかったが、今回はあくまで芸術祭が主目的のため、おもに作品展示のある"醤の郷"をめぐる。
醤の郷 醤の郷 醤の郷
 昔、実家の近所に醤油工場があって、麹と塩の強い匂いが今でも記憶に残っているためちょっと警戒したが、現在ではさすがにほとんど匂いがしない。むしろ、もう少し香ったほうが風情があると思ってしまう。
醤の郷 醤の郷

 ↓は清水久和の「オリーブのリーゼント」。リーゼントのかつらを置いていて、それをかぶって一緒に記念撮影する人が多かった。
醤の郷 醤の郷
醤の郷 醤の郷

↓はドット・アーキテクツ(dot architects)のUmaki camp。
醤の郷 醤の郷 醤の郷
 ドット・アーキテクツは、家成俊勝と赤代武志が2004年に共同設立したグループで、大阪・北加賀屋を拠点に活動している。北加賀屋といえば、「メセナアワード2011」で大賞を受賞した千鳥土地(株)の「KCV(北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ)構想」(→おおさか創造千鳥財団)に基づいて「芸術・文化が集積する創造拠点」を目指している地域。これからどのような広がりを見せるか注目が集まっている。小豆島・醤の郷でのプロジェクトでは、誰でも自由に使えるキッチンやスタジオ、野菜畑、屋外シアターなどからなっている。
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小豆島2016秋~馬木 

サヘジ・ラハール

 馬木にある元農協の倉庫にはサヘジ・ラハールの作品がある。醤油の原材料である大豆を保存していた倉庫らしい。作品は、凄みのある造形と土の質感がじつに良い。このあたりで採れた土だろうか。何かが籠っているという感じだ。

サヘジ・ラハール サヘジ・ラハール サヘジ・ラハール
サヘジ・ラハール サヘジ・ラハール
サヘジ・ラハール サヘジ・ラハール サヘジ・ラハール

サヘジ・ラハール
サヘジ・ラハール サヘジ・ラハール

 馬木ポンプ場のあたりは、オリーブの加工場があるのだろうか。良い香りが仄かに立ち込めている。
サヘジ・ラハール

 しばらく歩くと元は醤油工業組合の事務所だった建物があって、なかにはソサ・ジョセフの絵画が展示してある。
城戸崎ゼミ+graf 城戸崎ゼミ+graf

 裏庭から竹林の小径をあがっていくと「竹の茶室」が立っている。京都造形芸術大学城戸崎ゼミ+grafの作品。
 公式ガイドの写真をみてホントにひょうたん型の茶室かと思って期待していたのに話が違うじゃん(笑)。公式ガイドは2016年から春・夏・秋の3部冊でなくなったため、製作段階では秋の新作までカバーできなかったというわけね。

城戸崎ゼミ+graf
城戸崎ゼミ+graf 城戸崎ゼミ+graf
城戸崎ゼミ+graf 城戸崎ゼミ+graf 城戸崎ゼミ+graf

 

小豆島2016秋~土庄 

土庄港

 今年は春(→ブログ)に引き続き、秋も瀬戸芸に行くことができた。ただ、行きたかったイベントには日程が合わなかったが。

 これまで瀬戸芸では行ってなかった小豆島に渡ることにする。

 小豆島は面積153キロ平米の大きな島で人口は約2万9千人。瀬戸内海では淡路島に次ぐ2番目に大きな面積で最大の人口を有する。本州・四国・近くの島々(豊島・直島)とは7つの港で航路を結んでおり、船のほとんどが高速船ではなくフェリーだ。島内には寒霞渓や二十四の瞳映画村、醤の郷など観光名所も整備されており、関西圏の住民なら一度は訪れたことがあるのではないか。
 交通量の多い街なかでは「島にいる」という気分に浸れないし、瀬戸内国際芸術祭の舞台にする必要はあるのだろうか?と最初は思った。関西からのアクセスの良さを考えると、移住にはもってこいの場所にも思える。
 しかし、実際には1970年以降、人口は減少の一途を辿っており、観光客の数も微減傾向にあるのが実情だ。

 土庄港の隣にはごま油の国内シェア首位の製油企業かどやの工場が立っている。岸壁に横付けされた船に積まれた、原材料入りとおぼしき大袋をクレーンで陸揚げしている様子が見える。立ち並ぶ白いタンクのなかにはたぶんごま油が詰まっているのだろう。風情のある伝統的なつくりの建屋でつくっているのかと勝手に想像を膨らませていたが、やや興ざめである。スーパーであの値段を実現するとなるとやむを得ないのはわかるが。原材料の胡麻も小豆島産ではなく、遥か彼方のアフリカなどから運ばれてくるそうだ。
 岸にあがるとごま油の香りが立ち込めている。小豆島といえばオリーブだが、オリーブオイルの搾油とゴマの搾油技術は共通するとか、そういう事情があるのだろうか。

 港で迎えてくれるのはチェ・ジョンファ(崔正化)の「太陽の贈物」。明るくハデな造形なので、さいたまトリエンナーレやKENPOKU ART 2016(茨城県北芸術祭)でも重宝されている様子。
土庄港
土庄港 土庄港

 土庄港から約1キロの土庄本町にもいくつか作品が展示してある。
 旧醤油倉庫内に設けられたエアドームに足を踏み入れると、360度パノラマのモノクロ絵画空間。大岩オスカールの作品で、2013年には伊吹島にあったという。
土庄港
土庄港 土庄港

「迷路の街」というだけあって、確かにちょっと迷った^^:。MeiPAMの美術館に寄ってもよかったが、今回はカフェだけ。