TodaysArt.jp2015@神戸新開地 

 姉夫婦が老親介護を代わってくれるというので、神戸アートビレッジセンター(KAVC)で行われたTodaysArt展等をまわることにした。

 TodaysArtはオランダのデン・ハーグで始まったArt,Music and Technologyをテーマとしたアートイベント。オール・ピスト(→DOMMUNEメモ6/16~オール・ピスト)しかり、昨今は地域のアートイベントが海外展開する傾向が強くなってきた。バーニングジャパンの方は、バーニングマンの海外展開ではなくそれにインスパイアされて起こったフェスのようで、リージョナル・バーンにはなっていないみたい。

 今年のTodaysArt in Japanは東京・天王洲アイルと神戸・新開地。会場の関係もあるのだろう、神戸では東京よりも小規模での開催で、インスターレーションは2つだけ。

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 神戸アートビレッジセンターは高速新開地駅にほど近い17階建てマンション(コルポラレアルス神戸)の下層部分を占めている。開設はマンションの竣工と同じく1996年、つまり震災の翌年だ。隣にはボートピア――競艇場外発売所があって、駅前の短いアーケード街には安い居酒屋や立ち飲み屋が立ち並び、「ハイソなアートを愉しむ文教的雰囲気」というより、スキッド・ロウを想わせるダウンタウンの匂いがうっすらとではあるが立ち込めている。地域コミュニティが震災前の80年代から協議会を立ち上げて「アートなまちづくり」を目指していたようだ。現在は(特) 新開地まちづくりNPOが中心となって地域を盛り上げている(→新開地ファン)。
 国道28号を渡ってアーケード街をのぼっていくと湊川公園に出る。学生時代は何度かパルシネマしんこうえん(→wiki)に映画を観にいったっけ。震災でなくなったと勝手に思い込んで立ち寄らなかったが、帰宅後ネットでチェックしたら現在(2015年)も上映しているみたい。
 アートビレッジセンターの海寄りにも映画館がひとつある。上に集合住宅がのっかった映画館は全国的にも珍しいのでは?。離れているため今回は行かなかったが、JR新長田には神戸映画資料館もある。
新開地 新開地

 震災の影響もあって全くと言っていいほど記憶に残っていないが、JR神戸線の高架下に突き当たってようやくこのあたりのことを思い出す。たしかこの高架下の並びにあった工務店か何かで什器の運び込みのバイトをしたような。
高架下  高架下

 アートビレッジセンターでのインスタレーション展示は、1階がNONOTAK(Noemi Schipfer、Takami Nakamoto) の「DAYDREAM v2」。インタラクティブな仕掛けはない。


 地階には、Wolfgang Bittner、Lyndsey Housden、Yoko Seyama、Jeroen Uyttendaeleの「Plane Scape」。
 天井から床まで垂直に張り巡らされたストリングスは、金属的なものかと思ったら白いラバーバンド。会場に入るとゴムの匂いが立ち込めて、ソリッドなイメージが覆される。

Plane Scape 2015 from Yoko Seyama on Vimeo.



 この日は19時からミニマル・テクノの鬼才、ジェフ・ミルズのコンサート・ライブ。KAVCは2階が144席のホールになっている。上のマンション住民から苦情が来ないのか心配したが、3階・4階にリハーサル室やアトリエ、会議室が入っているから大丈夫のようだ。

umie ハーバー
 時間があったのでハーバーランド(wiki)まで歩いてみる。ハーバーランドは神戸を去った後に完成したので全くの初めて。不動産所有者の三菱倉庫とイオンモールが共同開発して2013年にオープンしたumie。シルバーウィーク初日にしては人でごった返す様子もなく落ち着いて散歩できる。イオンモールは新開地駅からも徒歩圏内の中央卸売市場西側跡地に4階建・延床面積約9万平米のイオンモール神戸南を2016年9月にオープンさせる予定。


 ジェフ・ミルズのコンサートは最初、スクリーンにExhibitionist(=露出狂) 2を映し出す。本来なら手の内を明かさないトラックメーキングのプロセスを自ら露出する、という意味でのExhibitionist。PCは一切使わずローランドのTR-909やKORG等を駆使して音曲をつくっていく彼の姿を複数のカメラが追う。手打ちうどんの実演販売よろしく街角のブースでDJプレイをおこなうミルズの映像などもある。彼は日本ではかつてWIREによく参加していた。横浜アリーナでおこなわれたWIRE00と01は参加した記憶がある。

 この日は真鍋大渡ライゾマティクスリサーチのライブが23時から三宮troopcafeであったが、ホテルが遠いため翌日のことも考えて断念。欲望がすっかり衰弱したものだ^^;。
 
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神戸ビエンナーレ2013で文化庁メディア芸術祭受賞作品展 

 アート・イン・コンテナの会場内に立つ特設テントで、文化庁メディア芸術祭の第16回文化庁メディア芸術祭受賞作品を上映していた。9月に福岡のインディペンデント映画祭で半分見たが、所用で後半部分を見逃していたので、これは嬉しい。ただ、仮設会場のため、付近の湾岸道路を走る車の騒音がうるさく、屋根のビニールシートが強風にあおられてバタついたため、視聴に集中できなかったのが少々残念。とはいえ、神戸ビエンナーレが数多くのアート・ボランティアに支えられているというのはじゅうぶん伝わってきて、市民が現代アートを支援する社会が都市にしっかりと根づいたことを実感する。

 水尻自子の『布団』は、露骨さや激しさのない、とろんとしてゆるやかなエロティシズムが感じられる。YouTubeにトレーラーあり。


Strata #4 - Quayola Video Abstracts - Creators Project - Long Edit


 ジム・オルークがプロデュースした石橋英子によるバンド「もう死んだ人たち」のMV"imitation of life"


 ハイスイノナサ(大西景太)"地下鉄の動態"


 評判だった大友克洋の「火要鎮」は、文化庁の大賞作品然としていて、かつての大友の若々しいエッジのきいた作風とは異なるが、やはりクオリティは高い。


神戸ビエンナーレ2013メリケンパーク会場 

メリケンパーク

 兵庫県立美術館を後にしてJRで三宮に移動する。ここもまた、学生時代のさまざまな記憶が重畳する街である。一瞥しただけでは、三宮駅周辺は震災前とあまり変わってないように見える。大きく変貌した阪神岩屋駅海岸側を目にした後ではなおさらだ。神戸新聞ビルや神戸SOGO本店、フラワーロードやセンター街。アルバイトや遊興で何度も足を運んだ場所である。震災から半年くらい立ってここを訪れた時はまだ、センター街に接するビルなどに地震の爪痕が残っていたのを想いだす。
三宮駅前 三宮センター街

 懐かしいセンター街をしばらく歩いて旧居留地に足を踏み入れる。
 80年代中葉はたしか、オフィスビルや港湾関係の建物が密集するだけだったという記憶しかないが、このあたりは大きく様変わりしている。随所にポルティコを擁した新しい建物が立ち、ルイ・ヴィトンやプラダ、バーバリー、ディオールなど有名ブランドの路面店が軒を並べている。ちなみにバーバリーは、かつては渋いオヤジのイメージしか抱いてなかったが、アンジェラ・アーレンツがCEOとなって、アメリカビジネス誌『Fast Company』の「世界で最もイノヴェイティヴな企業100」2011年版で13位につけるまでとなった。アーレンツは来春(2014年)からアップルの小売部門の責任者になるという。

 なお、『60プロジェクトによむ日本の都市づくりによると、旧居留地では、震災後の復興計画で、道路から約1メートル後退したところで壁面線の一致をはかり、スカイラインを緩やかに統一し、ポルティコを景観特性にして、低層部分に店舗を誘致し、屋上・突出広告を禁止するなどして風格ある賑わいを演出したという。本書には、私も大学2年次に暮した六甲道駅南地区の再開発についても載っていて、震災半年後に、自分がかつて住んだ雑居ビルを訪ねたところ、1階の店舗部分が沈下していて住んでいた3階が2階になっており、震災の凄まじさをまざまざと感じたのを想いだす。

三宮海岸通り
 懐かしい商船三井ビルを越えて海岸通りの陸橋を渡るとメリケンパークである。ここはいくつかの甘い記憶を残す場所だが、三宮センター街等と比べて記憶が薄いのは、当時ここに来たのがほとんど夕方以降だったせいだろう。フランク・ゲーリーのフィッシュダンスは震災を免れたようだが、かなり錆びついてきた。

神戸ビエンナーレ夕景

 大西野々の間村伝承~始めの第一歩の巻~。神様に挟まれた村。漢字やひらがなを一文字ずつ刻んだキュービック。意味をになったはずの言葉を分解した文字が文字自体のイメージに変換される。
大西野々1 大西野々2

 メリケンパーク会場内では、アートインコンテナ展のほか創作玩具国際展や書道展、いけばな未来展、障がい者公募作品展などもおこなわれていた。
 まずはゼロバイゼロの「海に咲く花」。千葉大学の現代アートサークル、ArtPublicityに所属していた駒橋透、飯田起弘、鈴木翔悟が2008年夏に組織したアート集団。色彩や光、水、空気等で音を可視化する作品を、音楽フェスやクラブイベント等で展示しているという。近年は徳島LEDアートフェスティバルなどもあり、各地のイルミネーションフェスティバルなど、さらに活動の幅は広がっていくことだろう。
「海に咲く花」byゼロバイゼロ 「海に咲く花」byゼロバイゼロ

 続いてつちやあゆみの「歯車の万華鏡」。
「歯車の万華鏡」byつちやあゆみ 「歯車の万華鏡」byつちやあゆみ

 続いて安蔵隆朝のLight flower of Two faces。
 細い串の両端に小さな白球を取り付けたようなものを高速回転させ、上部からプロジェクターで映像をあてて、さまざまな色彩の模様を帯びた2重のドーナツ、というか光の花をつくりだしている。回転する音がまたなんとも良い。今年度の神戸ビエンナーレ大賞受賞作品。
安蔵隆朝 安蔵隆朝
安蔵隆朝 安蔵隆朝
安蔵隆朝 安蔵隆朝
安蔵隆朝 安蔵隆朝

神戸ビエンナーレ夕景