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日経コンピュータ 2020年1.9号 

 日経コンピュータ 2020年1.9号は特集・新春大予測。

 ニュース&リポートでは、政府の19年度補正予算と20年度本予算案(デジタル関連予算は1.7兆円)。文科省のGIGAスクールネットワークに新規約2300億。経産省のキャッシュレス・消費者還元事業に4200億(50%増)など。日本電子計算の自治体クラウド(Jip-Base)で障害。

〇特集の新春大予測
AI関連では2020年はAIの民主化が一段と進むとみている。人工知能のアーキテクチャは最下層をハードウェア(GPU、CPU、TPU、AI専用チップ)として、第2層が深層学習フレームワーク(Tensorflowとか・・)、第3層が学習済みモデル(画像・顔・音声・文字認識や動画分析、検索、音声合成、感情分析…)。これまではこれら3層からなるプラットフォーム構築が主戦場だったが、今年はその上の第4層、アプリケーション層とソリューションが主戦場となる。
 PFNは深層学習ライブラリー、チェイナーの新機能開発を断念してフェイスブックのPyTorchに移行。一方で深層学習用いたガン診断技術を提供する米Preferred Medicineを三井物産と合弁で創設。
 富士通研の河東孝/編集部による図式化(横軸に知識獲得技術、知識活用技術、知識蓄積技術。縦軸を自律性の高低で整理する図式)がわかりやすい。

 ブロックチェーンは今年、STO(セキュリティ・トークン・オファリング)元年となる。STOはスマートコントラクトを使って証券取引・配当を自動執行。bitbankの仮想通貨用語集にも解説がある。これまで証券化の対象になりにくかった小規模資産やプロジェクトが金融商品となる道を拓く。

 携帯市場は楽天モバイルの動向。当社のネックは電波が回り込んで届きやすい周波数帯「プラチナバンド」を保有していないこと、保有周波数が既存大手に比べ大幅に少なく、これをKDDIとのローミングでカバーしていること。今年はケイタイの契約更新年で、楽天モバイルに変更しようかなぁと思ってた矢先だったので、検討材料になる。モバイル一刀両断にも楽天モバイル関連の記事が。当社CTOのタレック・アミンがFierce Wirelessで2019年無線技術の最もパワフルな人物に選ばれた。注目度が高いのは携帯インフラに「ネットワーク仮想化技術」の全面導入を決めたから(→日経Xtech記事)。ただ、昨年12月には誤請求が判明。3時間弱の通信障害も引き起こし、総務省から4回目の行政指導を受けている。

 ドローンは政府が22年度実現を目指す「有人地帯での目視外飛行」(レベル4)、つまり荷物輸送、建築物点検、警備業務への利用――に向けたドローン所有者の登録制度の創設を公表。

 MaaSは、my routeはけっきょく西鉄以外の鉄道切符が買えない(予約のみ)こともあり、利用は進まない。やはり交通局などが仕切る必要がある。

日経BP総研×ギリア(GHELIA)EXPO Tokyo 2020関連記事あり。清水亮のギリアは『みんなのAI』構想に基づくインスタントAI(AI開発・推論環境)を提供、家庭教師のトライ・グループとともに、短時間での生徒の理解度を網羅的に測定する「共進化的アダプティブラーニング方式」を活用したシステムを開発中。
 ギリアの取締役会長、北野宏明は、以前(→ブログ:ICF2016)から提唱していた、AIによる仮説立案と検証を通じたノーベル賞級の科学的発見(ノーベル・チューリング・チャレンジと名付けたみたい)の話。GARUDAなるプラットフォームでデータや知見蓄積を進めている。VRコンテンツを開発するエクシヴィはVRアニメ制作ツール(AniCast Maker)を紹介。ほかにも角川アスキー総研の遠藤諭のラズパイ使ったドンキーカー、スイッチサイエンスを運営する144Labの九頭龍雄一郎、アスラテックの今井大介、AR三兄弟の川田十夢、暦本純一らが参加。
※昨年、小倉にある『創生塾』で開かれた常盤木龍治のレクチャーで、ゑびラボの開発した飲食店/リテール店舗経営支援ツール、Touch Point BIを紹介していた。これはマイクロソフトAzureのCognitive ServicesやAzure Machine Learningを活用しており、画像解析にはアロバビューコーロを使用したもの(←Ledge.ai(2018 08 20))だが、まずは財力も知的リソースも豊富な大企業ではない、比較的小規模の飲食店やリテール店舗の経営支援という、小さな「現場」にフォーカスするという点で、大上段に構えた「人工知能」よりも遥かに好感が持てる。家計調査の時系列でも、被服履物が下降傾向、教養娯楽が横這いなのに対し、一般外食だけは2010年以降、上昇傾向にある。飲食店は起業をこころざす者にとって、参入障壁の最も少ない事業の一つだ。いずれにせよ、かつてスティーブ・ジョブスがPower to the Peopleの観点からコンピューターを"ビッグブラザー"IBM的なものからパーソナルなツールに変えたような大きなシフトがAIワールドでも起こりつつある(というか起こるべきだろう)。日本のIT業界はまたもやマイクロソフトにおいしいところをもっていかれる、みたいなことがなければよいが……。

 池袋パルコ開業から50周年を迎えた昨年の11月に全国旗艦店としてオープンした渋谷パルコは、当社がこれまで手掛けてきたDX実証実験の集大成のようだ。ネット販売の追い上げへの実店舗の対抗手段を考えたとき浮上するキーワードは「非計画購買」。atParco Wi-Fiのログ解析や温度・降雨センサー、AmazonEcho(池袋店など)から取得されたデータを統合し、人とロボットにより接客の質を高めることを目標に掲げる。スマホアプリPocket Parcoでは電子レシートを受け取れる。CAMPFIREと共同運営するBooster Studio。うーん、振り返ってみたらもう20年以上?パルコに行ってなかったなw。

キーワード」のコーナーでは、分解性IoTデバイス。NTTは土に還る電池を公開。阪大はCNF(セルロース・ナノファイバー)で大部分を構成した湿度センサーを開発。銀ナノインクや金属部分を含むが微量で環境負荷が小さい。

 文中敬称略。

 
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WIREDメモ2019年7月 

 一年半くらい?興味が衰えていたwired的なものへの関心が多少、蘇ってきたので、いくつかメモしておこう。といっても雑誌の方じゃなくウェブの方ねw。月イチでクリップする習慣を身につけておきたいが、どうなることやらw。

 「学習行動」はRNAを介して子孫に遺伝する:線虫の研究から明らかに(2019.7.5)は、「学習の遺伝」について以前から関心があったので嬉しい限り。関連記事リンクでいくつかほかの記事も辿れる。但し、研究結果が人間にも当てはまるかどうかは「いまだにわからない」。

 グーグルが計画中の未来都市「IDEA」(2019.7.5)は、アルファベット(グーグルの親会社)傘下のSidewalk Labsが、カナダのトロントで進めるスマートシティプロジェクト。うまくいってない的な話を小耳にはさんだが、その現状報告。想像通り「個人情報保護」の問題。中国であればクリアできそうだが、「Don't be Evil」をモットーとするグーグルがさっさとトロントを諦めて中国で進めるかと言えば、東西冷戦が蘇ってきたかにみえるこのご時世、それもなさそう(中国政府としてはWelcomeだろうがw)。
 ただ、トロントでの試みは、将来的に世界各地で建設が進むであろう「スマートシティ」を西側の法治国家で実装するうえでの重要課題が整理される良い機会だ。人権保護や法治主義に厳格な西側諸国のハンディキャップが浮き彫りにされるかどうか。そういえば、アクシス6月号 (特集:変容する都市)では、フォスター&パートナーズがマスタープランを作成するインドのアマラーヴァティ(→wiki)や、ステファノ・ボエリ(→wiki:Stefano Boeriが手掛ける柳州など、世界各地で計画/推進されるスマートシティ例が載っていた。


 データベースの「生命的自律」という、未来イメージを誘発するキャップコピーに惹かれて読んだ岡瑞起×オラクル竹爪慎治 対談(2019.5.30)はOracle Autonomous Databaseのプロモ記事。こういうプロモ記事は悪くない。岡瑞起は、存在は気になっていたがまだ買ってなかった『作って動かすALife』の著者の一人。最近少しPython学習してるし、オラクルのDBは買えないがw、こっちは買おうかな?⇒買っちゃった!

 ケヴィン・ケリーによるミラーワールド(鏡像世界)は、デジタルツインの延長上にある概念だろうか。「ウェブ、SNSに続く来るべき第3のグローバルプラットフォーム」という見立てで、『WIRED』日本版Vol.33はこれを特集している。



 アマゾンの現場で起きる労働問題(7.26)は、工場の無人化を考える人には重要。

 「ラディカル」が自由な民主主義を更新する(7.20)は、ジェイミー・バートレットの新作『ラディカルズ』の紹介。バートレットは最近になって『闇ネットの住人たち』を読んだところなのでタイミング良し。中道(左派)の急落/崩壊は、「パソキフィケーション」というらしい。発音しにくいので日本では普及しないだろうなw

 「スマートキッチン・サミット・ジャパン 2019」に注目すべき理由(7.25)は、フードテックがらみ。食の問題は、食のサプライチェーン、つまりキッチンだけでなく農業や酪農、水産業、さらには賞味期限や食品残渣などの問題と切り離すことができない。食の安全保障の話にもつなげたらよかったのにね。

 人の表情を読む「医療用スマートグラス」(7.25)。発達障害や自閉症スペクトラムと心の理論(→wiki)の関係は、よく指摘されるところ。重要なのは初対面の相手の表情より、頻繁に会う仕事関係者なので、機械学習の効果も期待できる。うまく作られれば、忙しいとついつい他人の表情を伺うことも怠りがち、という人にも役立ちそう。ただ、日本人の場合、表情にあまり出さない人が多い。2重チェックのために声調からも診断できればいいが、装備が大変になるかな。眼鏡の下のところに「コイツちょっと怒ってるかもよ」とか表示されるだけでも役立つって人は少なくないのではw。価格次第だけど、スマートグラスのオプション機能として良いかも。

 ある写真家が夢想したポストヒューマンな未来は、トランスヒューマニズムネタ。

 インターネットが地球規模で浸透する時代、もはや「不平等」からは目を背けられなくなる(7.25)で注目したのは、インドのNPO、Digital Empowerment Foundation。日本でも、貧しい人や障碍者へのパソコン/ネット教育サービスは、市民活動としていろいろおこなわれている。ただ、イデオロギー色を嫌う人は多いので、幹部スタッフは(表向きだけでも)口は慎んだ方がいいと思うよw。企業の同調圧力もキライだが、左派の同調圧力もキライという人は少なくない。

日経サイエンス2019年3月号 

 日経サイエンス2019年3月号は`第1特集が「太陽」、第2特集が5年で世界を変える10の科学技術。

 AIシステム最前線では、大田佳宏のArithmer。大手損保と共同開発した運転動画解析システム(ArithmerDia)や紳士服メーカーと開発したスマホ利用の自動採寸システム、歯科技工所を運営する企業と組んだ義歯リアルタイム自動生成システムなど。北海道のニセコ町に現代数学の拠点(国際数学研究所ニセコ)を設立する準備を進めているという。

 フロントランナーは自己組織化の藤田誠(→wiki)。

 ニューススキャンでは、ハイパーループ関係。日本では慶応大学が研究を進めているようだ。意思を生む脳回路は、Ryan Darbyによるエイリアンハンド症候群(→wiki: Alien hand syndrome)を通しての意思/意識研究。自己認識と行為主体性の座としての楔前部。



 第1特集の「太陽」。藤原定家の日記など、古文書の記述から昔の巨大磁気嵐のような太陽現象を調べる話など。2018年2月号のワールドニュースにも載っていたキャリントン・イベントの話題は重要。ますます電信網への依存を深める世界の脆弱性に、いかに対処するか。

 第2特集は、5年で世界を変える10の科学技術。
 コンピュータ分野では産業分野で大きな影響を与えているAR。安価・高速のAR対応モバイル機器用半導体チップが開発されれば、より多機能のスマートグラスが商品化される。
 医学では迷走神経刺激療法。群発頭痛や偏頭痛を緩和するための刺激装置がFDAの承認を得たという(アメリカでオピオイド禍がいかにヒドイかを物語っている)。
 幹細胞から育てた食肉。AIで分子設計は、AI創薬の話。製薬分野では生成的機械学習により、数百万種もの化合物のライブラリーから新薬になりそうな候補を絞り込む試みが行われている。米国政府もAI支援分子設計の研究を助成。MGI(マテリアル・ゲノム・イニシアティブ)に多額の投資をおこなっている。ICP2016で関係することを述べていた北野宏明の推薦だろうな。人工知能学会全国大会2016の頃は野武士だった清水亮も、北野が執行役員を務めるソニーの傘下に入り、経営者としての負担が軽減されたようで何より。
 「プラズモニクスで毒物検出」:表面プラズモン共鳴(→wiki )は超微小ナノアンテナや高効率太陽電池などの製造に利用できる。メタマテリアルの一種? プラズモニクス利用のセンサーだけで、北米市場規模は2027年に4億7000万ドル規模が予想される。
 NISQ(ノイズありスケールしない量子コンピュータ by John Preskill)では量子誤り訂正はまだ実行できないが、NISQ向けに有望視されるアルゴリズムはシミュレーション用と機械学習用。敵対的生成ネットワーク(GAN)の量子コンピュータ版の開発進展が見込まれる。

 後半部はナショジオ的な記事2つ。インドと中国のケース。

 最初の記事は、インド初の生物圏保護区の設置に寄与したエコロジスト、M.ガジル(→wiki: Madhav Gadgil)に関するもの。聖なる森、ポナド・ケディア。

 中国「海綿城市」は、「土人設計」(→公式)――「士人」設計と思ってよく見たら「土人」だった(笑)――を設立したランドスケープ・アーキテクト、ユー・コンジェン(→wiki: Kongjian Yu)関連の記事。
 彼はアメリカ国土計画をつくりあげたウォレン・マニング(→wiki)にヒントを得て、中国全土の景観総合計画に取り組んでいるという。北京市の「生態学的セキュリティパターン」を地図化して水害リスクの高い土地を特定し、市当局に警告していたが、2012年7月21日に北京市は60年ぶりの豪雨で道路冠水、79人の死者を出した。金華市・燕尾洲公園が増水を吸収。内。ボルガ川沿いのカザン市でバイオスウェイルをつくって水の流れを遅くするなどした話。ユー・コンジェンは21世紀の禹(→ブログ:上海双年展2018)と讃えられる日が来るかもしれない。

 ちなみに中国は世界森林資源評価(FRA)2015でも、2010~2015年までの正味の森林増加面積がダントツ世界第1位。中国といえば土壌・水質・大気汚染というイメージをいまだにもつ人は、こういう記事を読んで認識をアップデートしたほうが良い。そーいえば、ナチス・ドイツも有機農法などエコロジーには熱心だったなー、などと言ってはいけないw。

 ブックレビューは井上亨による『サピエンス異変』と丸山敬による『トランスヒューマニズム』。森山和道「読書日記」に登場する『バイオハッキング』や『ワンス・アポン・アン・アルゴリズム』も読んでみたい(が時間があるだろうか)。

 文中敬称略。