土井ヶ浜の大賀ハス 

土井ヶ浜の大賀ハス

 土井ヶ浜人類学ミュージアムの敷地内には、大賀ハスを植えた湿生花園がある。

 ハスは好きな植物の一つだ。
 花の色・形が良いのはもちろんだが、花だけで言えばハス以外にもキレイな種類がいくつもある。ただ、一般に「美しい」とされる花は、鑑賞目的で品種改良されていることが多い。
 それに対してこの大賀ハスは、wiki:大賀ハスにあるように、今から2000年以上前の泥炭層で採取された種から育ったハスを移植したものだ。人工的改変の余地がない。
(もはやこのブログが扱う対象は、アート(Art)どころか人工物(Artifact)ですらないw)。

 花弁の姿形も良いが、陽光を浴びて黄金色に輝く花拓が良い。ハスという和名はハチの巣に似たこの花拓の形に由来する。大賀ハスが示す通り、堅牢な花拓は2000年以上もの長期にわたって種を守る。その意味で、ハスの花拓は永遠性のシンボルと言える。

土井ヶ浜の大賀ハス

 ハスの魅力は花だけではない。花茎も葉も地下茎も魅力的だ。円形の葉の貨鼻と呼ばれる中心部から二十数本の葉脈が放射状に伸びる姿は実に見事だ。葉には撥水性があるので、雨水や朝露が水玉状になる(→wiki:ロータス効果)。そのさまが実に清浄なのだ。仏教で言うアムリット(甘露)はハスの玉露に由来するのかもしれない。

 地下茎は言うまでもなくレンコンだ。蓮田から抜き取ったところは観たことがないが、スーパーの棚に並ぶ泥付きレンコンをみるだけでもホレボレする(大げさかなw)。レンコンの穴は、空気を茎や根に送るための通気孔だ。

土井ヶ浜の大賀ハス 土井ヶ浜の大賀ハス 土井ヶ浜の大賀ハス
土井ヶ浜の大賀ハス 土井ヶ浜の大賀ハス 土井ヶ浜の大賀ハス
土井ヶ浜の大賀ハス 土井ヶ浜の大賀ハス 土井ヶ浜の大賀ハス

 ハスの花(蓮華)は仏教の花として知られるが、仏教だけでなくバラモン教やヒンドゥー教でも特権的な意味を与えられている。
 たとえばヒンドゥー教の女神の一柱ラクシュミーは、ハスをもつ女性(パドマーヴァティー)という別名をもつ。これは仏教に取り入れられ、日本では伝統的に「吉祥天」としてあがめられてきた。また、タントラに関わるネパールのカーリー女神は、血塗られた刃やハサミ、人の生首とともにハスの花を持っている。 
 最近、ペマ・ツェテンの『ティメー・クンデンを探して』やソンタルジャの『天空の河』(→ブログ)などチベット映画をいくつか見たが、チベットに密教をもたらしたパドマサンバヴァ(→wiki)も、蓮華に生まれし者という意味をもつ。
 インド・ネパール以外でも、古代ペルシア人はハスを太陽の化身と考えたし、エジプトではハスを光と生の神オシリスに捧げたと伝えられる。
 紀元前数世紀に成立したヤジュル・ヴェーダの天啓文書の一つ『タイッティリーヤ・ブラーフマナ』では、宇宙の起源として、原初に存在した水の中からハスの茎が伸びてきたと書いている。
 『リグ・ヴェーダ』は白花と青花のハスに言及している。 青いハスはプシュカラ(湖・匙のくぼみ)。そういえば昔、インド旅行したとき、ラジャスタン州のプシュカル(→wiki)というキャメル・フェスティバルで有名な湖畔の聖地に寄ったなあ。

プシュカールの猿
プシュカルはサルの多いところだった。『怪物はささやく』のキング・コングといい、カーサ・ブルータス動物園特集といい、最近は脳裏にサルがまとわりついているかのようだ。

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土井ヶ浜ビーチとハマユウ 

土井ヶ浜のハマユウ

 土井ヶ浜の人類ミュージアム(→ブログ)に行く前に、ビーチに寄ってみた。休日とはいえまだ夏休み前で、午前9時過ぎということもあって、海水浴客はあまり多くない。

土井ヶ浜のハマユウ

 雲がやや多いせいだろうか、海の色はベストではない。以前、10月のよく晴れた日に来たときは、格別だった。

土井ヶ浜のハマユウ

 土井ヶ浜ビーチにはこの時期、ハマユウの花が咲きそろう。ハマユウはヒガンバナの一種で海浜植物だ。

土井ヶ浜のハマユウ

土井ヶ浜のハマユウ

土井ヶ浜のハマユウ

土井ヶ浜のハマユウ



土井ヶ浜遺跡&人類ミュージアム 

土井ヶ浜人類学ミュージアム

 土井ヶ浜に行ってみた。

 土井ヶ浜は弥生時代の人骨や副葬品が出土したことで知られる。遺跡(→wiki:土井ヶ浜遺跡)は国指定史跡となっており、敷地内には人類学ミュージアムが立っている。

 ミュージアムの正面左手にある特徴的な巻貝のモニュメントは、ゴホウラ貝をあらわしている。土井ヶ浜遺跡の特徴の一つは、貝の装身具が数多く出土したこと。腕輪に使われた大きなゴホウラ貝は、(九州北部を介して間接的だったかもしれないにせよ)遥か南の奄美大島以南の島々と交易があったことを物語っている。
土井ヶ浜人類学ミュージアム 土井ヶ浜人類学ミュージアム

 貝をアクセサリーとして使う例は世界各地で散見される。たとえばアフガニスタンではタカラガイを縫い付けた帽子は婚礼などに使われる。そういえば土井ヶ浜で貝塚が見つかったという話は聞いたことがない。装飾品に特別な貝を使った一方で、身近でとれる貝は食料にしなかったのか、あるいは食用の貝がこの付近で採れなかったのだろうか?。

 ミュージアムでは現在、九州大学アジア埋蔵文化研究センターと共に、出土した人骨の歯に含まれるストロンチウム同位体を分析する調査をおこなっているという。歯のなかのSr同位体は、歯ができた子どもの頃に飲んだ水や食物から取り込むため、その土地のSr同位体と比較分析することで、移動の有無などが検証できる。

 ミュージアムでは出土した貝製品や土器を展示している。

 ちなみに、ここは無線LANが使えない。

土井ヶ浜人類学ミュージアム
 外に出て、約80体の人骨を発掘時の姿で復元したものの展示室を覗く。ちょうどこの季節(7月中旬)はハマユウが見頃を迎えている。

 ドームに入ると、砂地の上におよそ80体の人骨が、発掘時の姿をとどめて復元されている。

土井ヶ浜人類学ミュージアム
 画像は人骨が埋まっていた遺構面と地表面をあらわすパネルだが、なんかアール・ブリュット開祖、ジャン・デュビュッフェ(→wiki)のアンフォルメル「地質と土壌―心的風景」(?)を想い出してしまったよ。

   ミュージアムを隔てた人骨ドームの反対側(正面向かって左)には、湿生花園(→ブログ)がある。この時期は大賀蓮の花がちょうど見頃だ。