アトリエ インカーブの活動 

 今年で16回目を迎えたアウトサイダーアート・フェア(2008年1月25日〜27日)は、 アメ リカン・フォークアート・ミュージアムが主催するアートウィークのメインイベントだ。  イギリスのヘンリー・ボクサーやシカゴのカール・ハマー、ロッテルダムの ヘレンプラーツなど、アウトサイダー・アートの名だたるギャラリーが出品している。  ヘンリー・ダーガーを初めて本格的に国内に紹介したことで知られる 小出由紀子のYUKIKO KOIDE PRESENTSも出展者リストに名を連ねている。

 この国際的なアートフェアで、日本のアウトサイダー・アーティストたちがいま注目を浴びている。大阪の「アトリエ インカーブ」のアーティストたち、寺尾勝広、湯元光男、吉宗和宏、新木友行、武田英治だ。

 なかでも寺尾勝広の作品はマンハッタンのフィリス・カインド・ギャラリーPhyllis Kind Gallery(236 West 26th Street, Suite 503)で単独展が開かれるほどで、日本では国立新美術館内にあるスーベニア・ フロム・トーキョー・ギャラリー で、今年2008年4月21日まで新木友行の単独展『PURORESUMAN』が開催中である。

 「アトリエ インカーブ」(大阪市平野区)はボーダレスアートミュージアムNO-MA同様、社会福祉法人が運営する施設で、アート/デザイン・福祉・教育の3つの領域を横断的にプロデュースしている。こうした福祉法人がアートプロデュースを手がける例は新しい時代の到来を感じさせる。

 ちなみに「アトリエ インカーブ」の活動は、3月22日(日)深夜の日本テレビ系ドキュメンタリー番組「NNNドキュメント」で紹介されるという。お見逃しなく。




脳が喜悦の声を上げる 

data.tron  メディアアートについてはほとんど興味を失っていた。それはかつて他者のテクノロジーに依存しただけに過ぎない作品や「コンセプト一発芸」的なものばかり見せられたせいだが、今回YCAMで池田亮司の新作インスタレーション展を体験して(そう、見てではなく、体験してだ)認識を改めた。これはスゴい。
 この衝撃はアウトサイダー・アートに遭遇したとき以来だが、O/Aに出会った際とは、ざわめく脳の部位が明らかに異なる。
 もともと池田亮司はヴィジュアル・アートではなくパルスや正弦波音、ホワイトノイズを駆使するテクノ・ミニマル/電子音楽の人で、今回はデータをテーマにして映像とサウンド、各種のインスタレ ーションからなるdatamaticsシリーズからdata.tron、data.film[nº1-a]、 test pattern [nº1] の3作品が無料公開されている。なかでも高速パルスに短いサイン波が混じるサウンドをバックに壁面を数 値データが埋め尽くすAVインスタレーション「data.tron 」は巨大さも手伝って圧倒的で、暗闇の中、音と数字にただただ翻弄される悦びが得られる。また、test pattern [nº1]では可聴音域の限界 を試すような高音で脳内に新たな知覚領域が生まれたかのような錯覚さえおぼえる。
 膨大なアートの「情報」とやらに囲まれて何に接するべきか基準を失っている人がいたら教えてあげるべきだろう。今すぐ山口に来て池田亮司を体験すべし、と。インスタレーション展は5月25日まで開催予定である。

アール・ブリュット・コレクション館長再来日 

 アウトサイダーアートの世界のアクセス数が2日の日曜日に10倍近く跳ね上がったので何があったのかと調べたところ、NHK新日曜美術館でアール・ブリュット・コレクションのリシュエンヌ・ペリー館長と田口ランディーが対談してたみたいですね。

 ということで毎度、後手後手に回っているアウトサイダーアート関連の最新情報ですが^^;、 今週の土曜日(3月8日)の13:00〜16:00に、滋賀県の近江八幡市文化会館で、ペリーさんが記念講演をおこなうそうです。詳しくはこちら、ボーダレス・アートミュージアムNO-MAをご覧ください。

 NO-MAのアートディレクターであるはたよしこさんの著作『アウトサイダー・アートの世界―東と西のアール・ブリュット』や、同じくNO-MA運営委員で兵庫県立美術館の学芸員である服部正氏の『アウトサイダー・アート (光文社新書)』を前もって読んで講演に出席すると良いでしょう。