YCAM「インターイメージとしての身体」展 

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 YCAMでギャラリーツアーに参加して「インターイメージとしての身体」展を観る。
 newClear+アレッシオ・シルヴェストリン(Alessio Silvestrin, 1973~)による「skinslides」が素直に面白い。ホワイエに設置されたオレンジ色と黒で塗り分けられた構造物の中は暗く、床には1mx2mの発光する乳白色のアクリル板が縦に3面並んでいる。その下を裸体の「人影」がバタバタと音を立てて這っていく。説明員の話によると、床上のスピーカーから発する足音があまりにもリアルなので、子どもたちの中にはアクリル板の下に実際に人がいるのではないかと思う者までいるという。実際には透明のガラス上でさまざまな動きを見せるダンサーを下から撮影した映像を、天井からアクリル板の上に投影している。アクリル板は3層構造になっていて、映像がよりリアルに映るように工夫されており、一番上はすべすべした肌のような感触が得られるよう、つや消し加工されている。説明員いわく「ダンサーをスライドガラスに封じ込めてプレパラートのようにしてみた」そうだ。
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 人体の「光のシルエット」と、床との接触面をしめす暗い陰影が実に美しい。接触面の影の広がりや移動によって、ダンサーが体重を移していく様子がじっくり観察できる。セクシャルな関心抜きにこれほどまでに人体の形や動きをまじまじ見て飽きないというのは滅多にない経験だ。細部を排した美しい人体の「光のシルエット」が実現できたのは、照明を側方から当てるなどいくつかの工夫によるものだそうだ。ダンサーはアレッシオ・シルヴェストリン。下半身に薄い下着を着けただけの裸身なのだが、下着のラインが床に接触して見えることを避けるべく細心の注意を払って踊っているという。(つまり逆に言えば、エロティックな関心は常に細部への執着と共にある、と言える。)
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 newClear(ニュークリア)は、映像やシステムデザインを手掛け、自らダンサーでもある大脇理智を中心としたアートユニット。YCAMインターラボのメンバーと重なっており、今後ますます活躍が期待されるアーティストグループである。



 アレッシオ・シルヴェストリンはイタリア生まれで、ローザンヌにあるルードラ・ベジャール学校などでダンスを学び、ベジャール・バレエ・ローザンヌやリヨンオペラ座バレエ団でダンサーおよび振付家とし て活躍。 1999から3年間、かのウィリアム・フォーサイス(William Forsythe, 1949~) 率いるフランクフルトバレエ団に所属し、2003年からは拠点を日本に移して、ダンスや振付けにとどまらず、映像や音楽等の分野でも活動している。2009年2月には、セルリアンタワー能楽堂による「伝統と創作シリーズ」vol.2"Triple Bill"で振付、音楽を担当し、能楽師の津村禮次郎と共演を果たしている。

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 なお、skinslidesのダンサーの動きは50シーン撮影されており、いつ行っても異なるパターンの映像を見ることができる。リアルな足音音響付きのシーンと、大友良英のサウンド付きのシーンに大別される。ちなみにこちらでプロモーション用のビデオを見ることができる。
 
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