康本雅子&テニスコーツの音楽/ダンスライブ@門司甲宗八幡神社 

甲宗八幡神社1
 門司の甲宗八幡神社で康本雅子とテニスコーツによるダンス/音楽ライブがあるというので、雨もやんだようだし自転車をのんびりこいで、対岸の門司にわたった。
 門司港には古い建物が随所に残っていて、歳月と共に静かに老い朽ちていくさまが、観光開発されたレトロ地区とゆるくつながって、じつに良い風情がある。
 甲宗八幡神社は関門トンネルの出入り口の近くにあり、周囲には大小の集合住宅や民家やラブホテル等が建っている。貞観2(860)年に清和天皇が創建したと伝えられ、神功皇后が三韓出兵の際に着用したという兜がご神体である。

 開演は午後7時。テニスコーツはさやによるピアニカ/ボーカルと植野隆司のギターからなるポップユニット。二人の澄んだ抒情性のある歌曲に沿って、康本はときにゆっくりと、ときに激しく踊る。ボウルの中でクリームをこねるように両腕や全身で空気を撹拌し、寝転がって横転を繰り返し、細長い五指を巧みに動かし、ベロベロバーをし、ゆっくりと反り返り、洗髪するように髪をかきむしり、4つ足の獣のように駆け回る。観客席の幼児が泣き出せば、抱きかかえてあやす。ペットボトルの水を飲むしぐささえも、ダンスの一部に組み込まれているかのようだ。

 康本のダンスに惹かれる理由は、彼女にバレエの経験がないことにもよるのかもしれない。私にはどうもあのバレエのもつ「構築感」が好きになれない。構築よりも即興。伽藍よりバザール。
 康本は15歳の頃から渋谷や新宿のディスコで踊っていたそうだ。20代前半には3年ほど世界各地を放浪し、アフリカン・ダンスに惹かれて後にセネガル共和国に渡っている。大学卒業後に就職のために所属したのは、パパイヤ鈴木を名のる前の鈴木寛のダンス・スタジオだったという。彼女のつくりだす身体各部の動きはバレエのクリシェではなく、世界のさまざまな場所で見つけたさまざまな人の振る舞いや所作がベースになっている。「アート」としてのコンテンポラリー・ダンスではなく、体の芯から「快」になれる音楽に駆動されて自由に独特に踊るということ、それが康本の魅力である。

 初めて康本のダンスを見たのは、ASA-CHANG&巡礼の小泉今日子のボーカルをフィーチャーした『背中』のPVだ。ASA-CHANG&巡礼の曲は、音楽というより音楽が解体して舞い散る音の葉、声の葉のようである。「前衛的なリリシズム」という言葉がふさわしく、そして前衛的でありながらなおかつ洗練されている。ほとんど椅子に座ったままで踊る康本の動きにはホント、ゾクゾクするほど魅了された。


 2011年7月に渋谷wwwであった3drum3pianoとの共演も素晴らしい!


 まずは「芸術」を志向したところから「前衛」を選択したものより、ポピュラーで自然なところから始まって、そこに飽き足らなくなって先鋭化、前衛化するもののほうが快い。

甲宗八幡神社2
 甲宗八幡神社の境内。雪が薄く積もっているように見えるが白砂利である。彼方に黒川紀章のレトロハイマートが見える。

スポンサーサイト