DOMMUNEメモ3~プロジェクション・マッピング~ 

 9月10日のDOMMUNEはプロジェクション・マッピング特集。ビデオ投影の瀧健太郎と映像作家の田中裕介を招いて、いとうせいこうが司会。10年ほど前になるが、ベルリンの(たしか旧東ベルリン地区の)ホテルに夜遅くチェックインし、部屋でふと窓の外に目をやると、向かいの古い建物の外壁に異様なまでにリアルな動画が投映されていて、それこそ建物の出っ張りの形状や窓の位置なども計算されていて、さすがベルリンは先端的なアートの街だと感心したものだ。今振り返ってみると、あれはプロジェクション・マッピングだったのだなあと、番組で紹介されたドイツのUrbanScreenの映像をみながらそう思った。

ウィーンのMQ―ミュージアム・クオーターにあるレオポルド・ミュージアム壁面でのプロジェクション・マッピングの様子。



 プロジェクション・マッピングは、通常なら立体形状に映像を投影させる際、形状の傾きや凹凸で映像が歪んでしまうところを、あらかじめ投映対象の形状や向きを計測し、あたかも3D映像のようにリアルに投影されるよう、3DCGソフトやAdobeのアフターエフェクツ等でレンダリングする技術だ。作品の完成度をあげるためには、投射対象の特性に合わせた精密な位置合わせや色調整が必要となる。もちろん決め手となるのは、投映対象や投映場所にあわせた内容の映像づくりだろう。光学迷彩で実物の立体を隠したり、実際のパフォーミング・アーツと組み合わせるなど、アイデア次第でいろんなトータルアートに発展可能、今後が楽しみだ。複製技術によるアートの代表であった「映像」は、「いま・ここ性」を強く帯びたサイト・スペシフィックなアートとなりゅーる。

 ↓は、黄金町の京急高架下の橋脚を投射対象とした瀧健太郎の作品。


 むかし新横浜の会社の寮に住んでいた頃は、横浜・野毛のJAZZバー、ダウンビートによく通ったもので、日の出町や黄金町界隈まで足を延ばすこともあったが、風俗店が蝟集する「悪場所」のイメージが強かった黄金町は、ゼロ年代半ばから環境「浄化」がおこなわれ、「アートによる街づくり」が進んでいるらしい。詳しくはこちら(→黄金町エリアマネジメントセンター)を見るべし。

 田中裕介はライゾマティクスの真鍋大度と共にSpring of Life(Perfume)のMV(↓)を手がけた映像作家。

 今年(2013)1月にYCAMに来た真鍋さんがPerfume Global Siteの話をして、モーションキャプチャデータまで公開したと語っていたのを思いだす。田中裕介はテイ・トウワのRADIOのMV(↓)も手掛けていて、草間彌生のドット作品をMVに出したいと本人に打診したところ、作品はNGだが本人出演はOKという話とあいなった次第が面白かった。せいこう氏曰く「あの人も受信系ですからね」。

 例によって宇川さんが乱入してマシンガントーク炸裂。記憶は思いきり不確かwだが、テレビ東京の実験的番組BLOODY TUBEで壇蜜の体表にプロジェクトする試みの話をきっかけ(?)に、人体に映像を投影する試みは、日本では赤坂の伝説のディスコMUGENで半裸で踊る身体に投映したのが最初で、MUGENに出入りしていた福生の米兵が、モントレー(?)あたりで経験したのを思い起こして16ミリフィルムで実践した――当時はフィルム・プロジェクターの時代で、暗闇の中でしか映像を共有できなかったが、その後、ビデオ・プロジェクターが取って代わり、当初単管式だったのが三管式が普及することで、周囲が多少明るい野外でも映像を共有できるようになったという「ほとばしるビデオアート史」。ほかにも、映像内に散乱する物語素――物語の中にたくさん物語があって、現代の映像に求められる「物語」は、シェイクスピアでなくアガサ・クリスティなのであって……(中略)どのタイミングで何を観るかによって観客がつむぐ物語が変わってくる、といった話なども。せいこう氏とのかけあいで、物語「素」なのか物語「層」なのかも曖昧かつ両義的で、ほかにもサイケデリック・ティーパーティー(まあ高濃度のお茶成分から言って、オピウム系というよりコケ…シャブ系だと思うが)とか、アビーロード監視カメラとかPiLのアルバム「Live in Tokyo」のカメラのさくらやまるいをバックにジョン・ライドンが突っ立ってるジャケットデザインを再現する話とか、興味深い話が盛りだくさん。飲酒しながらの拝聴で記憶は定かでないし、うーん、誰かちゃんと文字起こししてくれへんやろか(他力本願)w。

br>  DOMMUNEはライヴストリーミングで、今ここ性の「ここ」はスタジオに行かなくては実現不可能だが、「今」性は担保してて、確かに記録され複製されるものは「いつでも聞き直せる」とばかりにゆるくテキトーに聞き流してしまうのだが、1回しか視聴できないとなると、視聴姿勢で伝わる「情報」の品質/精度も異なってくるというわけである。どうしても過去の番組アーカイヴを見たければ、山口市内にあるDOMMUNEビルまで足を運ぶという手がある。これは近隣地域に居住する者にとって大きなアドバンテージである(と認識できてる人が現在のところどれだけ山口県内にいるのかは別として)。twitterで投映対象のアイデアソンみたいなこともしてて、いろいろと面白かった。ちなみにテレ朝毎週土曜深夜に「AMAZING BANG・REVERSE3~映像 x トリック」司会:いとうせいこう、瀧健太郎、田中裕介によるテレビ番組やっているらしい。要チェック。プロジェクション・マッピングを実際に手がけてみたい、と思った人はアドビのアフターエフェクトを購入して、右の本やCGワールドなど読んで勉強すると良い。

 第2部はKen Ishiiの20年。ケン・イシイとMOODMANが初めて出会ったのは90年代初頭あたりの吉祥寺hustle。な、懐かしい。当時は都内に芝浦GOLDなどもあって、月曜から金曜まで昼間会社でギシギシに管理・監視された身体を週末夜に解放して取り憑かれたように踊り狂ったものだ。GOLD2ndFloorの音が好きだったが、都内各所の小箱クラブにもいくつか足を運び、その挙句気に入ったひとつがhustle。紙コップでラムコークとか安ワインとか飲んだナー。吉祥寺にはワルシャワという中古レコード屋があって、ワルシャワ・ナイトという定期イベントがあってさあ…うんぬんと、オヤジの思い出話をしたくなったよ。
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