DOMMUNEメモ20141128~菅野薫と黒川良一 

 11/28のDOMMUNEは、11/29~30開催の『BERLIN×TOKYO デザイン、アート、カルチャー展』に関連して、電通のクリエイティブ・テクノロジスト菅野薫とAVアーティストの黒川良一が出演。司会は塚田有那。

 菅野薫は、東京オリンピックの招致PVで使用されたフェンシングの太田雄貴選手の剣さばきをモーショントラッキングして映像化するプロジェクトや、カンヌ・ライオンズ 2013における電通セミナーで披露されたPerfumeのパフォーマンスに携わった人。2013年のSound of Honda - Ayrton Senna 1989」で第17回文化庁メディア芸術祭2013エンターテインメント部門で大賞を受賞している。現在は真鍋大渡率いるプロジェクトYourCosmosのメンバーでもあり、YourCosmosによるRap by Laptop――人工知能でネット上を行き交うテキスト等をリアルタイムに拾って解析し、フリースタイルのラップを生成するライブパフォーマンス――を紹介。YourCosmosにはほかにもevalaや堀井哲史、比嘉了、登本悠介、徳井直生が参加。

 続いてオーディオ&ヴィジュアルアーティストの黒川良一が登場。
 ↓はYCAMでも展示されていた2011年のrheo: 5 horizons。グリッチを多用した「音響と映像が一体化した彫刻」。
 

rheo: 5 horizons from RYOICHI KUROKAWA on Vimeo.


 syn_

syn_ from RYOICHI KUROKAWA on Vimeo.


 オーディオヴィジュアルインスタレーション作品「oscillating continuum」2013

oscillating continuum from RYOICHI KUROKAWA on Vimeo.


 黒川の作品は、映像と音響でできているが、いずれも優れた建築のように空間構築的で、さらに、音が映像を喚起し、映像が脳裏に新たな聴覚像や触覚像を結ぶような、シナスタジア――共感覚的な体験をもたらす。

 DOMMUNEでは、デジタルデータのアート作品を売買する仕組みについて話題が及んだが、黒川の作品の場合、s[edition]で購入することができる。

 s[edition]は、ダミアン・ハーストやビル・ヴィオラ、オノ・ヨーコなど数多くの現代アーティストの作品データを扱っており、版画と同じように、購入した作品にはアーティストの署名とエディション・ナンバーが付与される仕組みのようだ。

 今回は塚田有那による司会がとても良くて、快く聴くことができた。塚田はサイエンス・コミュニケーションを推進するSYNAPSE Projectに参加し、司会だけでなく編集やライター、キュレーション等も行っているという。

 アーティストトークをただのトークにとどめるか、ライヴ・パフォーマンスの領域にまで高められるかは、司会者の腕に大きく依存する。出演者のプロフィールや作品を事前に把握しておくことは当然だが、付け焼刃感が目立つと出演者も視聴者も萎えてしまう。出演者の言葉に「必要な」補足を加えながら、その意味をしっかりと視聴者に伝えられるコミュニケーション能力や出演者のアート領域及びその周辺に関する深い知識、出演者の関心領域への理解、視聴者と出演アーティストの間に立って、視聴者が望む(であろう)話を出演者から引き出す質問力、出演アーティストの言葉のパフォーマンスを引き上げる動機づけの力や演出力などが求められる。つまりは「演じる力」であり「演じさせる力」だ。相づちの仕方一つとっても重要で、出演者の表情から敏速に感情を読み取り、スムースにトークを指揮する力が要求される。ルックスや声に(出演者を殺さない程度の)花があれば、さらに良いことは言うまでもない。

 宇川はDOMMUNEの興行を通じて、「ファシリテーション」の重要性をよく理解している。アーティストトークにおいて、ファシリテーションの腕前はアーティスト自身と同じくらい重要だ、という認識が、もっと広く深くアート&クリエイティヴの領域に浸透して欲しいものだ。

 文中敬称略。

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