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映画『スリー・ビルボード』 

 地元の映画館で、マーティン・マクドナー監督・脚本の映画『スリー・ビルボード』(原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri)を観る。

 概要はこちら(→wiki:スリー・ビルボード)。

「まさにトランプ時代のアメリカを描いた」という声があがるのかな。しかし、ヨーロッパでも中国でもインドでも日本でも、誇張はあるにせよ、地方はだいたいあんな感じだ(たぶん)。

 共感させては脱臼させる、という観客の感情の誘導がなかなかオモシロイ。音楽の使い方は最初のあたり小うるさく感じたが、これも考えてのことかな?

「政治的正しさ」の原則に基本、従いながらもしっかり、批判的視座を忘れていないという点では、バーホーベンの『エル』(→ブログ)と共通する。



 自分だったら、あえて警察署長を女性に、フランシス・マクドーマンド扮する主人公を父親に変え、クラーク・ピーターズ(→wiki:Clarke Peters)扮する後任署長にもっと見せ場をあげるのに、とちょっと思ったが、それは男性観客の見方。制作者が届けたいと思っている人に届かない。マーティン・マクドナーは明らかに女性観客をメインターゲットにしている。ミソジニーと言われないよう工夫も施して。

 キネマ旬報2月上旬号に載った越智道雄の分析は、素晴らしい。

 そうか、「地方なんてしょせん、どこも一緒」というのは、単純すぎる見方かもしれない。

 映画の舞台であるミズーリ州オザーク高原は、外界から途絶された地域だ。住民の多くは、英系移民第4波と呼ばれるスコッチ・アイリッシュ系(WASPとは異なるケルト系)。宗教的にはスコットランド系プロテスタント(長老派)。彼ら/彼女らの性格的な傾向が映画に表れているのではないか、というもの。
 なるほど。そういえば、デヴィッド・フィンチャー『ゴーン・ガール』の主な舞台(夫の故郷)もミズーリ州だった。アメリカで親の介護を理由に帰郷って、ん?と思っていたが、疑問が解けた。女性主人公の気持ちにあらためて共感したw。映画には確か直接映ってなかったが、ホント苦労したんだよ。

 あと、日本のオザーク県に対する批評にもなってるw

 そういえば、フランスでいったん廃止していた徴兵制が復活するという。「見せたいものだけ見せる」というメディアの姿勢が、日本の匿名ビルボード(掲示板)の隆盛を招いた要因の一つだという自覚があるかどうか、だなあ。

 文中敬称略。

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