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映画『よこがお』 

 KBCシネマで深田晃司監督の新作映画『よこがお』を観る。

 概要はこちら(→wiki)。

 これは正直おもしろかった。監督は1980年生なのに、ちゃんと実写映画ファンの中核的年齢層まで考慮に入れて映画づくりしているw。

 舞台はおもに流山市(→wiki)の住宅街。隣接する柏市はスマートシティの先駆けで、流山市も人口が増え続けるベッドタウンだ。キャッチフレーズは「都心から一番近い森のまち」。といっても映画に映る流山市は、森の緑が強調されるわけでもなく、全国各地で見られるマンションと木賃アパートと日本家屋が入り混じるありふれた住宅街。ささやかな動物園が登場するが、流山おおたかの森の動物園なのかな?

 前作『淵に立つ』(→ブログ)で好演した筒井真理子が主役の市子を演じており、『シン・ゴジラ』(→ブログ)で強い印象を残した市川実日子が重要な役回りを果たす基子を演じている。ちなみに市川は『三度目の殺人』(→ブログ)にも出演したが、このときの印象はあまり良くなかった。今回のジャージ姿の市川はイイ。

 『万引き家族』(→ブログ)に出演していた池松壮亮が頭カラッポの若い美容師をうまく演じてくれて、性的自信喪失を気に掛ける中高年男性への配慮が感じられるw。市子の婚約者を演じた吹越満は『ラブ&ポップ』(→ブログ)に出演していた(といってもよく憶えていない^^;)。印象的な画家のお婆ちゃんを演じた大方斐紗子(→wiki)はwikiによると、ブログ:キネ旬8月上旬号で触れた『赤い迷路』にも出演していたようだ。

 初盤、シュルレアルに犬と化す市子の姿は、えっ、こういう方向の映画だったの?、と困惑させられて愉しめた。ブニュエル的というのともちょっと違う動物の使い方、意味深な逆光や陽光の車体反射、テレビやガラスやミラーへの映り込み、ドアフォンの液晶画面の使用などもなんか好い。

 タイトルの「よこがお」はプロフィールという意味だろうか。人が他人に示せるプロフィールは、顔写真や出生・結婚・出産、入学や卒業、入社、退職、賞罰などに関わる公式データしかない。数少ない公式データを除いた「事実」の多くは、誰かに解釈され伝聞されたものにほかならない。法廷闘争をみてもわかるように、「事実の認定」は厳密にやろうとすると極めて難しいし、その結果だってときにはひっくり返ることがある。
 いっぽうでメディアは、誇張やでっち上げによって他人のパブリックイメージを一時的にクリエートし、ときとして当事者の現実の人生を大きく変えてしまう。

 市子がメディアスクラムに巻き込まれるさまは、10年前なら大げさすぎでウソっぽく感じて萎えてしまっただろうが、昨今の報道に触れていると、あながちウソ臭いとも思えない。加害者の親族と被害者の間に少しでも関係があれば、取材記者の下劣な妄想はたちまち燃え盛る。事実かどうかより想定読者(という名の自分)にとってゲスっぽい物語として愉しめるかどうかが重要であって、犠牲者は自分以外なら誰でもいいという世界になり果ててしまった。

 『淵に立つ』に引き続き、思わずパンフレットまで購入。監督は日本の「手なし娘」(→ブログ)の映画化を構想中だという。

 この後、クソ暑いのに那の津を散策して食事し、KBCシネマに戻ってマイク・リー監督の新作映画『ピータールー マンチェスターの悲劇』を観る。


 『よこがお』は小説版も出ている。

 文中敬称略。

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