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インポッシブル・アーキテクチャー展(1) 



 広島市現代美術館で開催中(2019.9.18~12.8)の『インポッシブル・アーキテクチャー展』に行く。

 2000年前後に、TOTOギャラリー間で開かれたアンビルト展を意識しているのだろう。図面と模型だけだったらちょっと退屈するだろうな、と想像していたが、映像作品やスライドショーがいくつが混じっていて見やすかった。特に3DCGを用いてアンビルト建築を都市映像のなかに構築してみせる試みは、良質の短編映画をみるかのようで愉しい。

 企画の趣旨は、建築家の卵たちや一般の建築ファンたちに、現実世界で成功した建築を参考にするのでなく、実現しなかった卓越した構想をみて想像力を養うとともに、優れた構想に「不可能」の烙印を押した現実の諸条件が何だったかを真剣に問い直すことを促す、ということかな。世界各地で大規模な(再)開発が進む時代だからこその企画。現実の広島駅前の再開発とセットで観ていろいろと考えてみるというのが望ましい態度なのだろう。

 本来なら世界経済を圧倒する勢いの中国が率先してこういう「ありえない」ものを実現に移していくべきなのだが、世界を総べる(かもしれない)習近平国家主席が2014年頃に「もう、奇妙な建築物はいらない」と発言したことの影響だろうか、米中経済戦争のあおりを受けて、中国国内でもおとなしめの建築が増えてきたみたいだ。

 過去に建築関連の本や雑誌で読んだようなネタが多くて新たな発見はあまりなかったが、記憶を強化するには悪くない。以下、目に留まったものをメモ。

1階フロア
・ウラジミール・タトリン(→wiki)関連では、第3インターナショナル記念塔の図面や、長倉威彦によるCGを使ってあたかも当地に実際に建っているかのように表した映像作品。
・カジミール・マレーヴィチ プラニート 1937年のパリ万博ソ連館には、ウノヴィス(→Artwords/artscape)の元メンバーらによる長大な「アルヒテクトン」が並んだ。「シュプレマティストのアルヒテクトン」。
 ロシアアヴァンギャルド建築については、こちらのサイト(→ロシア・アヴァンギャルドとその周辺/地球居住者のための将来のプラニート)に詳しい。
JR広島駅前のビッグフロントやエキシティ、さらにいずみのニュータイプ・モール、LECTの建築設計を手掛けたアール・アイ・エーの創設者、分離派建築会の山口文象(岡村蚊象)による「丘上の記念塔」(1924)。建物を支える構造体を地下に設置せず3方向に広がる「脚」が建物を支えている。
・万博記念公園に残る鉄鋼館などで知られる前川國男による東京帝国博物館建築設計図案の再現配置図や模型。
・ヤーコフ・チェルニホフ(→wiki)の『建築ファンタジー101のカラー・コンポジション(1933)のスライドショー。
 ほかにはブルーノ・タウトのアルプス建築や宇宙建築師など。

 奥の方には、建築家集団〈アーキグラム〉(→wiki)関連の展示があって、水戸芸術館での展示(2005年)を見逃した者としては嬉しい。脚のついた移動都市「ウォーキング・シティ」(1964)など。
 1970年の大阪万博もそうだったが、前衛の時代(→ブログ:『激動の時代の芸術展』)の建築構想はなんともSF的で想像力全開だ。2025年の大阪万博で岡本太郎の役割を担うのは誰なんだろう? 猪瀬直樹推薦で落合陽一か? もう、人選は決まっているのかな。
 長倉威彦らによるマイケル・ウェブ(Michael Webb)の「Drive-in House」の映像がイイ。 自動車の車体が高層集合住宅の一部をなしていて、えっちらえっちら壁面をのぼって自分が住んでいるところにすっぽりとおさまるというもの。「住居の拡張としての車」。マイカーに乗っているときは住居は使わないし、住居を使ってるときは車はいらないというところからの発想だろう。駐車場まで徒歩で移動する必要がない、というか駐車場そのものがいらなくなる。掃除するにしても部屋掃除と車内の掃除が一度でできる。極めて合理的だが、自宅でも土足が基本の欧米人らしい発想とも言える。

 『インポッシブル・アーキテクチャー展』(2)に続く。

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