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映画『コールド・ウォー』 



 YCAMスタジオCでポーランドのパヴェウ・パヴリコフスキ監督の『コールド・ウォー あの歌、二つの心』をみる。公式サイトはこちら

 YCAMだけ日本語のサブタイトル「あの歌、二つの心」が「あの声、二つの心」になってるのは、何か意味を込めてのことだろうか。ポーランド語の原題Zimna wojnaは冷たい戦争。「二つの心」は本作のなかで何度か歌われるフォークソング。歌の内容にかかわる新解釈だろうか。

 概要はこちら(→wiki)。

 冒頭、ポーランド民謡をうたうシーンでガツンとやられる。一瞬にして上質の音楽映画を期待させる何かに包まれてしまう。

 1948年なのに、オープンリールのテープレコーダめいたものが映っていたので、この時代にテープレコーダが存在していたのかな、と気になったが、ドイツのマグネトフォン(→wiki)かな。

 数十年ぶりにミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』を読んだところなので、チェコとポーランドの違いはあれど、なんとなく共通して伝わってくるものを感じ取ってしまう。厳密にはさらに少数民族とか絡んでいるのかもしれないが、アウトサイダーにはわからない。

 アフター・『ザ スクエア』(→ブログ)時代のシネフィル御用達映画の傾向だろうか。以前のように無暗に「難解さ」を振りかざすことがない。それでも、観客によってはストーリーの提示が足りなさすぎ~と感じる人もいようが、それはパンフレットを買って読め、という暗黙のメッセージだ。たとえば、チェコの例をあげると『マルケータ・ラザロヴァー』のような、かつての激動の時代を代表する映画に比べると、遥かにインクルーシブに出来上がっている。スタンダード・サイズのモノクロ映像、上映時間88分には、文字通り「オールド・ファン」の健康への配慮がうかがわれる。

 挿入される音楽もマニアック過ぎることなく、私ごときでも聴いたことあるなぁと懐かしむ曲目をときに挟んでくれる。記憶力低下により、曲名は失念しまくりだがw。ガーシュウィンやコール・ポーター、スターリン・カンカータ、インターナショナル……。エンディングがゴルトベルク、というのだって、ありがちかもしれないけど悪くない。

 主人公ズーラを演じるのはヨアンナ・クーリク。ヴィクトルはトマシュ・コット。

 撮影監督のウカシュ・ジャルは、パヴリコフスキの『イーダ』や『ゴッホ 最期の手紙』でも撮影を務めた。

 編曲・演奏のマルチン・マセツキ(→wiki:Marcin Maseckiの略歴は日本語では今のところポーランド広報文化センターでみられる。1982年ワルシャワ生まれ。98年に実験的ジャズユニットAlchemikを結成。本人のブログはこちら

 ローカルなフォークソングと、普遍性を希求してときに専横的にもなる西洋音楽との衝突、確執、摩擦……すっかりまるくなった前衛を前衛と呼ぶかどうかは別として、東欧的「前衛」の伝統を引き継ぎ後世に伝える映画だ。



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