脳が喜悦の声を上げる 

data.tron  メディアアートについてはほとんど興味を失っていた。それはかつて他者のテクノロジーに依存しただけに過ぎない作品や「コンセプト一発芸」的なものばかり見せられたせいだが、今回YCAMで池田亮司の新作インスタレーション展を体験して(そう、見てではなく、体験してだ)認識を改めた。これはスゴい。
 この衝撃はアウトサイダー・アートに遭遇したとき以来だが、O/Aに出会った際とは、ざわめく脳の部位が明らかに異なる。
 もともと池田亮司はヴィジュアル・アートではなくパルスや正弦波音、ホワイトノイズを駆使するテクノ・ミニマル/電子音楽の人で、今回はデータをテーマにして映像とサウンド、各種のインスタレ ーションからなるdatamaticsシリーズからdata.tron、data.film[nº1-a]、 test pattern [nº1] の3作品が無料公開されている。なかでも高速パルスに短いサイン波が混じるサウンドをバックに壁面を数 値データが埋め尽くすAVインスタレーション「data.tron 」は巨大さも手伝って圧倒的で、暗闇の中、音と数字にただただ翻弄される悦びが得られる。また、test pattern [nº1]では可聴音域の限界 を試すような高音で脳内に新たな知覚領域が生まれたかのような錯覚さえおぼえる。
 膨大なアートの「情報」とやらに囲まれて何に接するべきか基準を失っている人がいたら教えてあげるべきだろう。今すぐ山口に来て池田亮司を体験すべし、と。インスタレーション展は5月25日まで開催予定である。

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