FC2ブログ

何も言うな。アングルを見よ(3) 


「浴婦」、いわゆる「ヴァルパンソンの浴女」アングルがローマ留学中に描いた傑作のひとつ。肉付きのひとつひとつが精緻に描かれて、まるで生きているかのようだ。薄汚れて見える白いシーツの襞がなんとも艶っぽい。とくに左腕にまつわりついたシーツが不思議な存在感を醸している。肘から先が切断されたがゆえに巻かれた包帯のようにも見える。こうなるともうアングルはハンス・ベルメールやロマン・スロコンブのような畸形美術の祖に位置づけられるが、ちょっとそれは牽強付会に過ぎるだろう。
 サルバドール・ダリが女の背中をよく描いたのは、彼が尊敬するアングルの影響だと言われている。背中は後背位を想起させるとともに、窃視への欲望を象徴する。フェミ系の評論家たちは、女の背中ばかりを描くダリを、女と正面切って向かい合えない脆弱な精神の持ち主とあげつらったが、決してそうではない。男の性欲はきわめて「脳」的ゆえに、ときには接触よりも窃視を欲してしまうのだ。
 ハイパーリアルに描かれたシーツとは対照的に、足元に見える電気のコンセントみたいな「ライオンの口」はハーレムの浴場をあらわすだけで、まるで取ってつけた感じだ。あとで弟子が描き加えたのだろうか?


アングル (1) (2) (3) (4) 

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://travis7.blog54.fc2.com/tb.php/3-4eb96e36