名古屋市立美術館 

名古屋市立美術館南側top
 JR名古屋駅から地下鉄東山線で1駅行った伏見駅でおりると、南に伸びる長者町通りの彼方に銀色の球体が見えた。名古屋市科学館の2011年3月にオープンしたプラネタリウムである。wikiによると直径35メートルで、投影型のプラネタリウムとしては世界最大らしい。ただ、今回の目的はあいちトリエンナーレ2013の会場の一つ、名古屋市立美術館である。

 建物は広島市現代美術館などと同じく黒川紀章。正面玄関のチケット・オフィスに行くと、今回のトリエンナーレでは、入り口は南側だという。後でガイドブックを読むと、これはルイ・ヴィトンの店舗や青森県立美術館を設計した建築家の青木淳の考案で、同氏いわくもともと黒川紀章も北側の正面だけでなく「南側も表だ」という意図をもっていたようで、トリエンナーレのテーマである「揺れる大地」に関し、一見盤石に見えるわれわれの環境が、本質的に揺らいでいるという認識を語っていることからすると、通常とは異なる順路展開をはかったのだろう。
 確かに風水上でもエントランスは明るい南側の方が良いし、白川公園駐車場も南側にあるし、地図で見る限り、最寄りの地下鉄駅も北の「伏見」駅ではなく南西方向の「大須観音」駅のようだ。しかし、人通りの多い繁華街は北側に広がっているし、JR名古屋駅から地下鉄で来ると大須観音駅だと鶴舞線に乗り換えなくてはならず、伏見駅で降りて来る人の方が多いとして、動線上から北側エントランスに決定したのだろうか。地元民ではないので決定に至る経緯は知る由もないが、メタボリズムの黒川はもしかしたらあとあと人の動線の変化によって両側玄関に改装することも考えていたのではないか、とシロウトの空想に浸る。青木さんの意図は、そうしたオルタナティブな想像を来客に喚起させることなのかもしれない。入口の位置を《反転》させた、という点では愛知出身の荒川修作が岐阜につくった養老天命反転地をも想起させる。

ゴームリー《接近Ⅴ》  南側の通常は裏口の入り口の付近には、重力に従って大の字にうつ伏せになった人体の彫刻がある。これはアントニー・ゴームリーの《接近Ⅴ》。彼は人体を「もの」ではなく記憶と変化の「場所」ととらえた。
藤森照信《空飛ぶ泥舟》  右手の林の間には土笛にも似たうつろ舟が架かっていて、これは藤森照信の《空飛ぶ泥舟》(2010)。中に入れるらしいが、当日分予約の受付は終了。藤森照信は建築家・建築史家として数多くの著書があり、赤瀬川原平や南伸坊らと路上観察学会を結成したことでもよく知られる。ちなみに、2013年11月9日(土)~12月23日まで同美術館で『ハイレッド・センター: 「直接行動」の軌跡展』を催すらしい。
アルフレッド・ジャー1  館内に入ってすぐの展示室には、アルフレッド・ジャーの《生ましめんかな(栗原貞子と石巻市の子供たちに捧ぐ)》がある。東関東大震災の津波で被災した石巻市の中学校の教室に着想を得た作品。暗闇の中にチョークの集積。黒板は子どもたちの視線を浴び続けるいわば学校の象徴で、そこに「生ましめんかな」の手書き風文字が時折ふっと浮かんでは消える。こちらにARTiTのアルフレッド・ジャー インタビューあり。

 続いてイ・ブルによる《星の建築(Sternbau)》。クリスタル・ガラスやアクリルビーズ、鉄・鋼を素材としたチェーン、ステンレス、アルミからなる宙吊りのオブジェ。重力を支えとした地上の建築ではなく、上下の定まらない無重力の空間における建築――住まうこと――を考えさせられる。オブジェの下の床には鏡が置かれ、「反転」した姿がそこに映っている。
 上の階は杉戸洋による軽やかな色彩空間。パステルカラーの色とりどりのメッシュが垂れ下がっていて華やいだ雰囲気を演出している。奥の展示室を覗くと、レバノン出身でニューヨークを拠点に活躍するメディアアーティスト、ワリッド・ラード(Walid Raad)の写真作品《Untitled(1982-2007),Beirut/New York》(2008)。ラードは、杉本博司も受賞したハッセルブラッド国際写真賞を2011年に受賞している。
 Youtubeで検索してみると、ルーブル美術館で最近、以下のような作品を含む展覧会があったようだ。
 

 北側エントランスに戻り、瀬戸内国際芸術祭の豊島でも見た青木野枝による作品を見た後、地下の常設展示をみてまわる。モディリアーニ《おさげ髪の少女》やキスリングの『マルセル・シャンタルの肖像』など。常設展示室3は村上友晴《十字架の道》のための静謐な空間。
 徒歩で15分程度というので、栄エリアの愛知芸術文化センターに歩いて向かう。

白川公園プラネタリウム 白川公園1
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