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あいちトリエンナーレ2013長者町エリア 

長者繊維街top
 あいちトリエンナーレに行った。
 愛知県は西日本の他の府県の多くが2000年前後に人口伸長率が頭打ちしているのに対し、現在も右肩上がりを続ける数少ない府県の一つである。全国一の製造業トヨタのお膝元であることが幸いしているのだろう。ただ、それはトヨタ・グループの経営動向いかんに景気が左右してしまうことをも意味している。

 あいちトリエンナーレは2010年から始まり今回が2回目となる。同年に開催される瀬戸内国際芸術祭が《村落》をベースとし、大きな人口を抱える都市圏からの距離の都合上、パフォーミング・アーツを数多く展開しづらいのに対し、あいちトリエンナーレではそれが可能で、今回は大規模なオペラまでプロデュースしている。中心的な役割を果たす愛知芸術文化センターは、美術館、芸術劇場、文化情報センターを備えた複合施設で、建物自体は離れたところにあるが図書館の運営もおこなっている。90年代以降は美術館と劇場が併設または一体化経営される傾向が高まっており、これも「分化」でなく「統合」を特徴とする「ポストモダン」の流れを示すということか。
 今回は、全体的な芸術監督が建築畑の五十嵐太郎で、オープン・アーキテクチャーといった建築関連の催しも数多くあった。
 会場は大きく栄エリア(愛知芸術文化センター含)、白川公園エリア(名古屋市立美術館含)、長者町エリア、納屋橋エリア、岡崎エリアに分かれる。2日間だけでしかも雨にたたられたため浅く回っただけだが、気づいたところだけクリップしておく。

 今回は長者町エリアである。近年は「アートによる町おこし」というキャッチフレーズで、一時期隆盛を誇って今はやや廃りかけた都市の一角などをアーティストに安く提供して賑わいを演出しようという動きが全国各地でおこっている。シャッター街の空き店舗や古くなったビルがその対象であることが多い。このエリアもそうなのか、トランジットビルやヱビスアートラボなどアートギャラリーやスタジオ、古本カフェといったアーティーな空間を随所に配している。

 時間があまりなかったので、YCAMの長期ワークショップでお世話になった山城さんが属するナデガタインスタントパーティーの『STUDIO TUBE』を優先的にみる。YouTubeのtubeは「テレビのブラウン管」でもってテレビ的映像を表すメトニミーであり、たぶんここでもそういう意味だろう。場所は中部電力本町開閉所跡地である。周囲には高層ビルも建つ片側アーケードの古い商店街の一角である。
NadegataInstantParty NadegataInstantParty
 建物の周囲に足場を組んで通路を取り付け、ところどころに市民と一緒につくったテレビ番組風の映像を流している。ニュース番組風、特撮ヒーローもの風、ドラマ風…。ナデガタインスタントパーティーの真骨頂は、市民を数多く(時には500人以上?!)集めて何かをしでかす、というところにある。市民を多数動員するには、それなりの「口実」が必要で、うまい口実を用意することで、市民がその「口実」をベースにどうやってその場で知り合った他人と協力して何かをつくりあげるかというたくらみである。パーティー――それは行動を共にする「御一行」であり、当事者であり、時には政党になることだってないとも限らない「会合」である。
NadegataInstantParty NadegataInstantParty NadegataInstantParty
NadegataInstantParty NadegataInstantParty NadegataInstantParty

 都市生活の諸場面で、ふとしたきっかけから無数の「物語素」の飛沫が散乱する。ナデガタがおこなっていることは、そんな味の素ならぬ「物語の素」の散布装置を提供すること、そしてその飛沫散乱の様子まで記録すること、なのかもしれない。
NadegataInstantParty NadegataInstantParty
NadegataInstantParty NadegataInstantParty

 通りの向かいには八木兵丸の内8号館。これも空きビルの一つだったのだろう。観客はブルース・リーの『死亡遊戯』のように、各階で待ち構える「アート」たちと対戦することになる。1階はザ・ウィロウズ(奈良美智+森北伸+青木一将+小柴一浩+藤田庸子+石田詩織+酒井由芽子)のWE-LOW HOUSE
八木兵丸の内8号館2 八木兵丸の内8号館3

 2階は山下拓也の作品群。おびただしい数のキャラクター商品の後ろ姿だけを撮った写真が壁を埋め尽くす。「これは×××やね、19XX年に○○から発売されたけどあまり流行らなくて2年後に製造中止になったやつ」とか、「これは20XX年に△△がノベルティーとして3000個だけつくった◎◎だよね」などというマニアな会話が飛び交いそうな空間である。
八木兵丸の内8号館4 八木兵丸の内8号館5
八木兵丸の内8号館6 八木兵丸の内8号館7
 4階には菅沼朋香のラウンジ空間作品。「昭和」のかたちを提示しているのだという。
八木兵丸の内8号館8 八木兵丸の内8号館9
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