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あいちトリエンナーレ2013映像 

 あいちトリエンナーレ2013でみた映像についてはここにまとめてクリップしておく。
 愛知芸術文化センター12階のアートスペースAでおこなわれていた映像プログラムで、三宅唱の長編第二作目『Playback』とミケランジェロ・フランマルティーノ(Michelangelo Frammartino)の『四つのいのち』をみる。
 三宅唱『Playback』は映像の世界を侵食しつつある3次元CGやプログラミング・アートを多用する作品群及びロボット演劇に対し、強烈な「人間的」個性でもって「ここまでおいで」と挑発している。テレビドラマをうっかり見て「今はこーゆー顔でこーゆー発声をする役者さんたちの劇につきあわなければいけない時代なのか」とお嘆きの貴兄に向けて、村上淳ほか役者然とした顔の俳優陣をフィーチャー。彼らがプレイバックを繰り返しながら、過去と現在のもつれあう都市をうごめく。
「Playback」と「建築映画」――鈴木了二(建築家)と三宅唱の対談はところどころYouTube映像を挟みながら詳しく解説している。とはいえ、映画を観る前にみてしまうと、いろいろ先入見が植えつけられるので要注意。なるほど、映画におけるトンネルの効果というのはわかる気がする。ただ、対談でもあるように、本映画は特に「建築映画」を狙ってつくったものではない。三宅唱はあとで確認すると、YCAM10周年記念祭プログラムの「FILM by MUSIC」で作品が上映されていた。


 続いて観たフランマルティーノの『四つのいのち』はこちら。

丹羽良徳『デモ行進を逆走する』 丹羽良徳『デモ行進を逆走する』
 愛知芸術文化センター地下2階通路の一角では、丹羽良徳の『デモ行進を逆走する』(2011)を映像展示。反原発を掲げるデモ行進のなか、赤いTシャツを来た、おそらく丹羽本人が行進の流れとは逆方向に歩いてゆく様子を撮影したもの。デモ行進する人びとは、特に彼を邪魔者扱いすることもない。その後ろ姿を作者の反原発に対する姿勢ととることも、日本や全ての安全保障常任理事国がとる姿勢と受け取ることもできるとした「両義性」を措定するかにみえる映像からは、穏やかならぬ何かが立ち昇る。政治的テーマに臆することなく挑戦する彼は、今回のトリエンナーレで他にも、お金でモノを買う売買の仕組みに関する不可解さをテーマとした《自分の所有物を街で購入する》や共産主義をテーマとした《モスクワのアパートメントでウラジミール・レーニンを捜す》、新作の《日本共産党でカール・マルクスの誕生会をする》などを映像展示した。2010年7月~9月にギャラリーαMで開かれた丹羽良徳の「複合回路」はYouTubeで一部見ることができる。


 地下2階通路の突き当りにあるアートスペースXでは、ニコラス・プロヴォスト(Nicolas PROVOST)の3作品をループ上映していた。《プロット・ポイント》(2007)、《スターダスト》(2010)、《東京ジャイアンツ》(2012)。最初に見た《東京ジャイアンツ》では、キャバクラのお姐ちゃん風の厚化粧の若い女やいかにもワルそうな青年、凶相の中年男などを(たぶん)隠し撮りし、パイロンの立ち並ぶ殺人現場めいた路地裏やタクシーの内部、路面に倒れた人に触れる救急隊員などの映像を収集して編集し、意味深なセリフをかぶせ、不穏なBGMを重ねることで、東京のアンダーグラウンドにまつわるサスペンスドラマをmake upする。それは「俳優」は特に「ドラマ」や「感情」を意図して演技しなくても、その他の要件、つまり編集の仕方や音楽等によって「ドラマ」が立ち上がりうるかどうかの試みである。俳優の小沢仁志に酷似した男性が女性をかき抱くシーンは、撮影現場を隠し撮りしたのだろうか? それにしても、唐突に包丁を取り出してブスリと刺すかもしれない正体不明の他人が肌の触れ合う至近距離にいることを許しながら、呑気に遠隔地の知り合いとケイタイでしきりに交信する東京の光景は、映像として見るとなんとも奇妙なものだ。この見知らぬ他人との密接な距離の許容は、明らかにアメリカの大都市とは異なる。

 《プロット・ポイント》はラスベガスを舞台とした同じテーマの作品。東京の夜景を構成する照明は、娯楽や消費だけでなく残業するオフィスワーカーや大量の通勤者を運ぶ交通機関がもたらすところが大きいが、ラスベガスの「光の洪水」は、ほとんど全てが純粋な娯楽と射幸と消費に付随する電飾から生じる。ラスベガスは同じネヴァダ州のフーバーダム及びデスバレーとワンセットで語られることが多い。水力による電気の「生誕」を象徴するフーバーダム、人の娯楽と(電力)消費を表すラスベガス、あらゆるものが死滅するデスバレー。かつてカリフォルニア州オレンジ・カウンティに住んでいた頃は、たまに金曜日になると午後5時前にこっそり事務所を出て、渋滞になる前にサンバーナーディーノを抜け(といっても大抵渋滞に捕まったが)、真っ暗なモハベ砂漠を突っ切ってラスベガスに行ったものだ。大きなコンベンションがない日は有名なホテルでも、ツインで30ドルになることがあった。カレッジラジオのエレクトロニカをガンガン鳴らして多彩な光の氾濫するストリップをドライブするのは、ある種のトリップ体験に似ていた。


 納屋町会場(東陽倉庫テナントビル)の映像ゾーンでアンジェリカ・メシティ(Angelica Mesiti)《シティズンズ・バンド》(2012)。
正方形に配された4面の壁のそれぞれに、移民のパフォーマーが都市の一角で音楽を奏でる様子が映し出されている。モンゴル系の男が街角で胡弓を奏でながらホーミーを響かせ、黒人タクシー運転手は停止した車内で切ない口笛を鳴らす。水泳競技ではあまり見かけることのないアフロ系の女が、室内プールで水を打ってドラミングを披露する。アラブ系の若い男が地下鉄車内で、壊れかけのカシオトーンを肩にのせてエレジーを歌う。いずれもストレンジャーの悲哀と音楽とが魅惑的に滲み出る映像。


 ちなみに日程が合わずプレイを実際にみる機会がなかったが、SjQ++が面白そう。もともとサウンドクリエイターの魚住勇太や米子匡司(Tb)、ナカガイトイサオ(g)、アサダワタル(dr)、大谷シュウヘイ(b)、及び電子音担当の人工生命が参加し、2012年に映像のKezzardrixが加わって、SjQ++として活動を続けている。アルス・エレクトロニカ2013のDIGITAL MUSICS AND SOUND ART部門で優秀賞を受賞した。要注目!。
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