キネマ旬報2017年3月下旬号 

 国内の映画館の年間動員数が1億8千万人を超えたのは、ビデオが登場する前の1974年以来。興行収入2350億円は2010年の2220.7億円を超えて過去最高。アニメの強い影響と東宝の独走状態が際立つ。東宝・松竹・東映の各社の興収トップはいずれもアニメ。

 興収トップ1の『君の名は。』(→ブログ)は約243.4億円(今年2月19日現在)。テレビ局出資もなく、ベストセラーの映画化でもないというのは異例。トップ2の『シン・ゴジラ』(→ブログ)は興収82.5億円(見込)、製作費十数億、宣伝費8.8億。
 邦画で興収トップ10の『この世界の片隅に』(→ブログ)は2月末現在、23億円。クラウドファンディングに投資した人は約2000人で、一人平均1万円は異例の数字。

 外国映画はダウン傾向。興収10億円以上は邦画が42本に対し、洋画19本。『スポットライト』(→ ブログ)は4.4億円。

 2016年は渋谷のシネマライズが閉館、鈴木元曰く「都内でオリジナリティを出す映画館は新宿武蔵野館、ユーロスペース、アップリンクくらい」。「9スクリーン以上あるシネコンなら小さなスクリーン一つをアート系専門にしてもらいたい」というのは同感。

 配給で注目はGAGA。配給本数21本、年間興収43億円(前年比44%増)。『溺れるナイフ』は見逃した。『ルーム』(→ブログ)は興収3.8億。
 今年は『ラ・ラ・ランド』(→ブログ)をポニーキャニオンと共同提供・配給、是枝裕和『三度目の殺人』を東宝と共同配給。

 第4章ではインディー系映画の現状。アトミック・エース、キノフィルムズ、クロックワークス、ファントム・フィルムの各社社長へのインタビューで構成。

 『淵に立つ』(→ブログ)は、河瀨直美の『あん』(2015)で5億円の興収をあげたエレファントハウスカルチュアヴィル。映画という文化産業/産業文化は、こういうインディーズ系配給会社の努力があってこそ、豊饒なものとなる。

 2016年は、日本映画の状況を明るくするには、①良質な映画を作り続けることと、②集客を真剣に考えること、時に「相容れない」と思われがちなこの二つの意識をともに最重視(片方が欠けてはならない)すること、という「ありふれた真実」があらためて明白となった1年だと言える。

 それは「言うは易し、行うは難し」だが、あとは関係者が各自の現状と価値観を踏まえてPDCAのサイクルをぐるぐる回転していくのみだ。経験主義的アプローチだが、大きな超越はごくたまにあってこそ尊い。

 2015年に『恐怖分子』 (→ブログ)のリバイバル上映を観たが、今度は待ちに待った『?嶺街少年殺人事件』がデジタルリマスターとなって蘇る。

 文中敬称略。



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