美術手帖2017年4月号~池田学特集 

 美術手帖4月号は、金沢21世紀美術館で展覧会が開催中(2017.4.8~7.9)の池田学の特集。

「木を見て森をみず」という言葉があるが、池田の場合、森を見ながら一本一本の木の枝葉ひとつひとつまでペンで描き込む(かのようだ)。彼はこのたび、チェゼン美術館(米国ウィスコンシン州立大学附属)の滞在制作プログラムで3年かけて制作した《誕生》(300x400cm)を日本で発表した。
 日本科学未来館の館長・毛利衛との対談で、池田は「一日かけてにぎりこぶし程度の面積しか進まないんです」と述べている。《誕生》制作中に右肩を脱臼して3か月ほど左手でペンを握っていたという。そのとき「血管や神経と木々の枝の形や飛行機の中から見た川や山の襞の形がどれも似通っていることに気づいたんです」。滞在したウィスコンシン州マディソンは、地球ができてから今までほとんど地殻が変動していないそうだ。
 池田の質問に答えて毛利が語った「宇宙の暗さ」の話も好い。空気のない宇宙には光を散乱させるものがない、ゆえのカーボンブラックを超える究極の黒。再現不可能な深みを称える黒。

 大判のキャンバスを幅1ミリにも満たない細かい線でびっしりと埋め尽くす細緻な画風は、父親を殺して精神科医院に出入りしたリチャード・ダッド(《お伽の樵の入神の一撃》あたり)を想わせるが、池田はアウトドア好きのリア充。幼少期は「釣りキチ三平」が大好きだったそうで、マディソンでも森の中で釣りに興じている様子が紹介されていた。



 椹木野衣の論考では、池田の絵を過度にわかりやすくしている「物語」の罠についてもちゃんと指摘している。

 それにしても、佐賀県立美術館で3月まで池田学展やっていたのか…。ここは3年前に行ったきり(→ブログ)。アンテナがえらく鈍くなったもんだw。美術手帖も毎号欠かさず目を通さなアカンかなあw。

・「根本敬ゲルニカ計画」というのがあるらしい。

・ロバート・メイプルソープの《カエル》(1984)に興味を持ったというユルゲン・テラー。

・天王洲にある児玉画廊での久保ガエタン展のタイトルは「僕の体が僕の実験室です。あるいはそれを地球偶然管理局と呼ぶ。」。これはアイソレーション・タンクのジョン・リリーの言葉から(展評は豊田市美術館の能勢陽子)。こちら(→美術手帖INTERVIEW-2016.2.19)にインタビュー記事あり。

・神奈川県立近代美術館葉山で開かれた「1950年代の日本美術―戦後の出発点」展に対する、『前衛の遺伝子』の足立元による展評のタイトルは「美術館は「自己批判しない」」。『シン・ゴジラ』を持ち出して1950年代レビューのあり方を問う。

・NEWSコーナー。杉本博司が榊田倫之と共同主宰する新素材研究所が、伊豆のMOA美術館の内装を手掛けたという。杉本は現在、「小田原文化財団 江之浦測候所」を建設中。

・MOVIEコーナーでは、テレンス・マリックの『ボヤージュ・オブ・タイム』とロバート・フランクのドキュメンタリー『Don't Blink ロバート・フランクの写した時代』を紹介。


 文中敬称略。
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