カナザワ映画祭フィルマゲドンⅢ 

フィルマゲドンⅢ

 小倉の旦過市場(→ブログ)に近い昭和館でカナザワ映画祭フィルマゲドンⅢ。

 カナザワ映画祭は、2007年に金沢市でスタートした「映画の会」主催の映画フェスティバル。
 基本的に毎年、金沢市をベースに開いていたが、今回は7月~11月まで約半年間にわたり、金沢だけでなく、羽昨や京都、山口、北九州、仙台で開催。
 UFOのまち羽昨では「宇宙怪獣大会」、山口YCAMでは「爆音上映」、京都では「エロス+猟奇」など各地域ごとにテーマを掲げ、テーマに沿った趣向の映画をまとめて上映。

 昭和館ではフィルマゲドンⅢとしてポリコレなんてぶっ飛ばせ!的「部族(ゾク)映画」を特集。

 都築響一の紹介で?すっかりヤンキーイメージが全国に定着してしまった北九州小倉、というところからの発想か、あるいは各種統計データに基づき福岡―山口エリアではこの手の"悪趣味"映画ファンが多いと判断されたのか。それともテキトーかw。
 2日目は柳下毅一郎の『興行師たちの映画史』的何か。ゼロ年代初頭くらいまではわりと好きで、新宿ロフトであった平山夢明のトークショーにも(1回だけ^^;)行ったものだが、悪趣味やグロテスクもポリコレ・リベラル同様、極端に行き過ぎるとキツイ。たとえ激辛料理が好きでも、辛味(刺激)は本来、料理の旨味を引き立てるためのものであって、トウガラシだけ食べてりゃ良い、という人はわずかだろう。一方で、昨今のシネフィル映画のような、刺激を排した、塩分抜きの上品な料理も好きにはなれない。
 いかに「過激化」をコントロールするかが肝要だが、コントロールできたら「過激」じゃないとも言える。まあ、重要なのは「過激」とは異なる魅力をいかに創出するか、という凡庸な答えしか浮かばないが。
 ポリコレがすっかり内面化した現在では、全作品を見る気概はなく^^;、トッド・ブラウニングの『知られぬ人』と『奇形女』だけみることにする。

『知られぬ人』(原題 The Unknown)はトッド・ブラウニング(→wiki)の1927年の作品。


 名作『フリークス』(初公開当時の邦題は『怪物團』)は、学生時代に京大西部講堂でみた。詳細の記憶はおぼろなので臆断はできないが、インパクトという点では『フリークス』のほうが断然強いとしても、ストーリー的にも映像的にも、こちらのほうが洗練されているのではないか。少なくとも上品な方々にもお勧めできるw。サイレントという強みもある。昔の映画だからネタばれしてもいいと思うが、事前情報なしで見たほうが楽しめる。ある意味、フリークス映画というよりメタフリークス映画だ。
 無邪気(ゆえに残酷)な小娘役に妖艶なジョーン・クロフォード。ロン・チェイニーの演技が魅力的。神話時代の映画。トッド・ブラウニングとロン・チェイニーの経歴は『興行師たちの映画史』に詳しい。

『奇形女』(1967)は監督がバイロン・メイブ(Byron Mabe)、といっても聞いたことのない名前。『興行師たちの映画史』では原題のShe Freakとして紹介している。
 時代を感じさせる音楽とファッションとフィルムの質感。移動サーカス遊園地ウエスト・コースト・ショウの様子がえんえんと流れる。安っぽいダイナーで腐った毎日を送る女性主人公ジェイド(クレア・ブレネン)は、下品なダイナーの主人に「もっと良い人生を送りたい!」と啖呵を切って店を辞め、遊園地の野外軽食コーナーで、やっぱり同じウェイトレスの仕事に就く^^;。ストリッパーと仲良くなり、彼女の住むホテルに居候して、「お金持ちのイイ男いない?」という話から、フリーク・ショウのオーナー、スティーブ・ジョンの名前を知る。運よく彼と親しくなったのは良いが、彼女はフリークスが大嫌いだった……。
 途中、コビトが少し姿を見せるだけで、肝心のフリークスが多数登場するのは終盤のわずか数分だけ。移動遊園地の様子をずっと撮影して、あとはストーリーに関わるシーンを付け足して、最後は『フリークス/怪物団』のもろパクリという、安っぽい製作事情が如実に伝わってくる愛すべき?ダメ映画。
 エクスプロイテーション映画の有名プロデューサー、デヴィッド・フリードマン(→David F. Friedman)が自ら脚本を手掛けた。主役を演じたクレア・ブレネンは1977年に43歳の若さで亡くなった。

 フリークス映画に関心を持ち始めた人や、なにゆえある種の人はこういうフリークスものを好むのかについて興味を持った人は、レスリー・フィードラーの『フリークス』を読むと良い。フィードラーは、マシュー・バーニーの『RIVER OF FUNDAMENT』(→ブログ)の主人公ノーマン・メイラーとともに「アメリカの文学と社会の最も大胆な暴露者であるといわれている」(訳者あとがき)。

 最近のマイブームは世界的に勢力を伸ばすスピリチュアル保守の動向で、ネットを渉猟してたら、八幡書店の創設者・武田崇元のツイッターに遭遇して、カナザワ映画祭・羽昨の「宇宙怪獣大会」で高橋洋監督の新作『霊的ボリシェビキ』がプレミア上映されたことを知る。


 文中敬称略。

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