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アジア・フォーカス福岡国際映画祭2017 

 アジア・フォーカス福岡国際映画祭2017に行く。数年前に秋吉台でみた『グレースランド』(→ブログ)のアノーチャ・スウィチャコーンポン監督の『いつか暗くなるときに』とショート・シンポジウム『なぜタイはアヴァンギャルドに強いのか?』を楽しみにしていたのだが、急な気温低下に起因する風邪と台風の接近情報によって諦める。そういえば、昨年(→ブログ:FIFF2016)も台風に伴う豪雨に祟られたなあ。

 今回みたのは以下の3本。

『ダイアモンド・アイランド』
『フーリッシュ・バード』
『見えざる者』

ダイアモンド・アイランド』(仏・独・カタール・カンボジア/2016/DCP/1:1.85/104分)はカンボジア系フランス人デイヴィ・シュー(Davy Chou,1983-)の監督作品。製作会社はフランスのAurora Films。
 カンボジアは、経済力のあるタイ(7000万人)とベトナム(9300万人)に挟まれた人口1500万人規模の小国だ。ベトナムとの関係は過去にいろいろあったが、現在はよく知らない。タイ国境付近では今でも領土問題を抱えている。
 タイにも、チャトリ・チャラーム・ユーコン殿下のような映画好きな王族がいるが、カンボジアでも、2012年に亡くなったシハヌーク国王(→wiki)が、俳優として出演するだけでなく、1940年代末から30本以上の映画を撮っている。

 ダイアモンド・アイランドは首都プノンペン近郊、バサック川とメコン川の合流地点の南側にある中州で進む大規模な新興開発地域。
 地方の村で母親と暮らしていた18歳の少年ボラは、巨大マンションの建設現場に出稼ぎに行く。昼間は肉体労働、夜は仕事仲間と夜遊びという生活を送っていたところ、音信不通だった兄ソレイと再会。洗練された都会人となったソレイに影響されるにつれ、仲間たちとは疎遠になっていく……。
 近代化/都市化によってカンボジアの若者たちが得たものと喪ったもの、という感じだろうか。リティ・パニュが描いたカンボジア大虐殺の記憶(→ブログ)が薄れた世代の映画。日本で、台湾で、韓国で、タイで、中国で繰り返されたアジアの近代化のプロセス――農村社会で生まれ育った若者が、都会の大規模都市開発の建設現場に送り込まれ、グローバルな若者文化の価値観に染まっていく――が、輪廻のように繰り返される。鮮やかでチープな電飾が、なんともいえない東南アジア情緒を醸し出している。深田晃司の『淵に立つ』(→ブログ)でも力を発揮した、フランス映画界が培ったポスプロ技術の支援もあって?、カラーリングがしっかりしている。ただ、小綺麗な新興開発地域とは対照的なはずのプノンペン・ダウンタウンの生活感溢れる雑踏が映っていない。
 主人公の少年も悪くないが、仕事仲間たちがそれぞれキャラ立ちしていて好印象。日本ではああいう顔立ちの少年を見かけることがほとんどなくなった。女性の描き方はあまり良いとは思えなかったが。
 ダイアモンド・アイランドといえば、2010年に起きた死者375名の大惨事(→Phnom Penh stampede)が想い出される。こちらを題材に含めると、ありふれた感が払拭できたのに、と思うのは身勝手な感想だろうか。


フーリッシュ・バード』(中国/2017/DCP/1:2.39/118分)は、ホアン・ジー/大塚竜治の共同監督作品。ホアン・ジー監督は湖南省出身で北京電影学院を卒業した後、2012年ロッテルダム国際映画祭に出品した『Egg and Stone』でタイガーアワードを受賞。
 舞台は高層の集合住宅が続々と建設中のる湖南省某都市。性的暴行事件が多発しているが、警官は昼間から株式市況に一喜一憂している。主人公は、母親が広東に出稼ぎに行き、祖父母のもとに預けられた女子高生。同級生のスマホを盗んでは転売を繰り返し、ネットカフェで友人とダラダラ過ごしている。顔が半分隠れるまで髪を伸ばしたダサイ制服(とうか体操服?)姿は、いかにも地方の女子高生という風情で、日本も中国も一緒やな~感。
 冒頭に白い盥に入った軟体動物(タコ)が映るが、中国のインディー系シネマでは、白をバックにヘビやウナギや頭足類などぬるぬるした生き物を映すという"約束事"があるのだろうか。昨年FIFFで観たビー・カン(BI GAN)監督の『凱里ブルース』(→ブログ)にも登場したし、昔、アジア美術館の所蔵作品?でみた(監督名も作品名も失念^^;⇒【追記】)某作品でも、盥に入ったウナギかドジョウが印象的だった。中国の新進監督には、今後ともぜひ踏襲して欲しいものだw。
 地方都市のダークサイド、というテーマは中国に限らず普遍的で好きだし、映像的にも見るべき点がいくつかある。映画はやはりロケーションが重要。面白い映像が撮れる景観と光をくまなく探すことが大切だ。
 音楽はもともとホウシャオシェン・チームで、昨今は『罪の手ざわり』(→ブログ)などのジャ・ジャンクー監督作品や『凱里ブルース』も手伝っているリン・チアン(林強)。やはり要所要所を熟練の職人がしっかりと支えていると、新人監督の作品も引き立つ。


【追記】
 作家名はヤン・フードン(楊福東)でした^^;。ただ、作品名は忘れた。

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