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映画『見えざる者』 

 FIFF2017(→ブログ)でタイのウィシット・サーサナティアン(→wiki:WISIT SASANATIENG)監督のホラー映画『見えざる者』(原題:The Unseeable/タイ/2006/Digital Data/1:1.85/97分)を観る。製作会社はタイのFive Star Production(→英wiki)。

 舞台は1930年代のバンコクの街はずれ。旅行カバンを抱えた若い妊婦ランチュアンが、リクシャーから降りて古い屋敷に入っていく。地方在住の彼女はかつて、バンコク出身のバイオリン奏者と夫婦になったが、夫がバンコクに行ったまま戻らないため、住所を頼りに訪ねてきたのだ。
 古色を帯びた屋敷には、滅多に表に現れない貴族の女性と女執事、小間使いのチョイが暮らしている。しかし、ほかにも庭先で穴を掘る男や小さな女の子がいる様子だった…。

 最初から不穏な音楽や映像を駆使して、これでもかと言わんばかりにホラー気分を盛り立ててくれる。
 主人公を演じるスポーンティップ・チュアンラックは、いわゆる美人タイプではないが、映画的な魅力を備えている。

 ショート・シンポジウムで話が出ていたように、本作品はアレハンドロ・アメナーバル監督・ニコール・キッドマン主演の映画『アザーズ』(→wiki)の影響を強く受けている。とはいえ、西洋風のゴーストストーリーに、ピー・クラスー(頭部と内臓だけで浮遊し、トイレで汚物を喰らうタイの女性魍魎)のような東南アジア独自の魍魎たちまで登場する。
 1930年代という時代背景は、1932年のタイの立憲革命(→wiki)と関わっている。これを機に、王侯貴族の力が弱まり、替わって軍部の力が増していく。

 監督は、ノンスィ・ニミブット(→wiki:Nonzee Nimibutr)の有名なホラー映画『ナンナーク』(1999)で脚本を手掛けた人。



 ショート・シンポジウム「タイのホラーの現在形」は、プロデューサのドンサロン・コーウィットワニッチャー(Donsaron Kovitvanitcha)をゲストに迎える。
 タイではテレビの普及した1970年代から伝統的なタイの魍魎(ピー・クラスーやピー・ポープなど)が登場するドラマが数多くつくられ、80年代には映画でも多くなった。ただ、その多くはお化けが出てきてキャー!という、コミカルな話で、本格的なホラーへの関心は90年代以降。特に『ナンナーク』の大成功と、『リング』や『呪怨』等のJホラーの影響が大きい。ナークは夫をずっと待つ死産した妻の幽霊。
 ほかには、ホラー映画は欠損家族をどう埋めるのか、に関わっているという話、タイではゾンビ映画はほとんどつくられてないが、理由の一つとして、エキストラ一人一人にメイク施すのでカネがかかる、というリアルな話が面白かった。

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