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映画『難民キャンプ』 

 福岡シネラのトルコ映画特集で、レイス・チェリッキ監督の映画『難民キャンプ』(Refugee/35ミリ/2008年/107分/トルコ)をみる。

 主人公はトルコ北東部の村に暮らすシヴァン。クルド人の地主の息子で、絵を描くのが大好きなナイーブな青年だ。
 ある日、草原で火災が発生し、彼はクルド人ゲリラのメンバーとして、放火に加担したのではないかと容疑をかけられる。日本のテレビでは、クルド人は国土をもたない悲劇の民として紹介されることが多いが、クルド人全員が独立を強く求めているわけではない。皆が皆、クルド労働者党(PKK)によるゲリラ活動に共感を寄せているわけではないのだ。地域や個人によっては、むしろクルド人ゲリラは迷惑な存在で、なかには自警団をつくって、時に彼らといざこざを起こす村もある。

 シヴァンの父親は、憲兵から連日厳しい尋問を受けるシヴァンを国外に逃亡させることに決める。シヴァンは亡命ブローカーの手はずでドイツに渡る。ただ、正規の労働移民ではないシヴァンは、手配師の指示にしたがって難民キャンプに送り込まれる。



 掘っ立て小屋のような長屋が無数に立ち並ぶ難民キャンプには、さまざまな国からドイツに逃れてきた人びとがいる。当時は第二次チェチェン紛争(→wiki)の最中で、チェチェン人の難民とロシア系難民がいさかいを起こすこともある。アフリカ系の若者は「同性愛者だと言えば申請が通りやすいぜ」と話す。
 彼らは難民申請を認めてもらうために、自分がいかに本国で政治的弾圧を受けたか、誇張をまじえて強く主張する。生活に困窮した難民たちに比べると、シヴァンはまだ恵まれた方だと見える。彼の申請は却下されるが、裁判所で通訳を務めるエリフは、親切心から、彼に弁護人を紹介する。しかし、それは違法行為であり、彼女は契約を打ち切られる……。

 ようやく申請を認められたシヴァンは、ドイツの街角を彷徨う。ドイツにはトルコ系移民労働者が200万人以上いる。クルド系の人びとも数多くいる。ドイツはナチス・ドイツの苦い経験から、政治難民に対しては、特に寛容な政策を取って来た。但し、そこには安い労働力として期待するという側面もある。
 カーニバルに沸くドイツの街で、シヴァンは同胞たちと交流を始めるが……。

 ニュルンベルクという地名も出てきて、ドイツの難民キャンプは、ナチ・ドイツ時代の強制収容所を想起させる。感情を押し殺して事務的かつ冷徹に対処する職員たち。ただ、それが難民たちに「アジール」と呼ばれるのが、なんとも歴史の皮肉となっている。

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