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キネマ旬報2018年1月上旬特別号 

 すでに1月下旬号が出てるのになんだが^^;、キネ旬1月上旬号はマストバイだ。

 現時点で編集部が把握している限りの2018年公開作品を紹介(といってもタイトル・監督名・主な出演者・配給だけだが)。膨大な数の映画作品が日本で上映されるなか、映画オタのタコツボに陥る気はなく、仕事や社交、家庭サービス、他の趣味に割く時間を考慮し、貴重な可処分時間をできるだけ有意義に過ごしたいと望む多くの人びとが、好きな監督や俳優の名前をキーワードに、事前に検討できるようにしてくれている。つまり、アウトサイダー(観光客)に開かれている。『芸術新潮』昨年12月号の特集もその点でありがたかった。「自分の観たいものしか観ない」になりがちだが、そもそも現実は見たくないもので溢れているし、想定外の事態は起こりうるし、期待は常に裏切られるリスクを孕んでいるし、偶然性の恵みはたまにあるくらいが尊い。

 当然ながら、年の後半になるほど上映未定だったり、外国語映画のタイトルは原題のままだったりするのは、読者として了解しなくてはならない。

 ざっと読んで感じたのは、ここ数年来、洋画でアーティストの伝記映画やドキュメンタリーが増えてきたこと。これまでも『ターナー、光に愛を求めて』『バンクシー・ダズ・ニューヨーク『エゴン・シーレ~死と乙女』、ロイ・フラーの生涯を描いた『『ザ・ダンサー』、『『セルゲイ・ポルーニン』、 『DARK STAR/H・R・ギーガーの世界』を観てきた(ホドロフスキーの『リアリティのダンス』『エンドレス・ポエットリー』も含められようか)が、2018年も『ヒエロニムス・ボッス』、『ゴーギャン』、『ジャコメッティ』、『デイヴィッド・リンチ アートライフ』が日本で公開される。
 高名なアーティストだけでなく、『YARN人生を彩る糸』のようなあまり知られていないアーティストを扱った映画もある。

 自分の関心によりバイアスがかかってる可能性もあり、昔から一定の割合でつくられていたのかもしれない(誰か時系列統計とってw)が、ヨーロッパの映画人がこれまで、ハリウッド的娯楽映画に対抗し、難解さでもって「芸術映画」を作り続けてきたが、あまりにも観客が減少したため?、アートと映画の関係を見直し、「芸術そのものはわからなくても、芸術家の人生に共感することはできるでしょ」という教育路線にシフトしてきたのだろうか。アートジャンルにせよ科学分野にせよ、天才らしいけど、天才であることの理由を理解するのが難しい場合、「伝記から入る」というのは、(あくまでも)入り口としてはアリだろう。もちろん、映像作家は、取り上げる天才の名にふさわしい作品づくりに努めなくてはならない。その意味では、優れた新人が自分の作家性を打ち出した後に、一般に向けて知名度を上げるために伝記/ドキュメンタリーに取り組む、というキャリアパスがあってもいいだろう。「一般向け」をバカにして臨むと、しっぺ返しを食らうことは言うまでもない。
 難解こそアートだと勘違いして集客を無視したせいもあるが、アート・シネマの数が減少し、アーティスト映画が増える、というのは、教養を尊んだ世代の高齢化を物語っているようで、ちょっぴり哀しい。

 まだ、ちゃんと検討していないが、とりあえず観たいのは『彼女が目覚めるその日まで』、『ルイの9番目の人生』、ギレルモ・デル・トロの『シェイプ・オブ・ウォーター』、スピルバーグの『ペンタゴン・ペーパーズ』と『レディ・プレイヤー1』、アダム・スミス『アウトサイダーズ』、ワン・ビン『苦い銭』、ディストピアと化した未来の日本を舞台にしたというウェス・アンダーソンのアニメ『犬ヶ島』、邦画では高橋洋『霊的ボリシェビキ』、諏訪敦彦の『ライオンは今夜死ぬ』、行定勲『リバース・エッジ』、レビューでは採点が辛いが清原惟の『わたしたちの家』も機会があれば。地方在住だと、近くで上映されるかどうか定かでないが、投瓶通信的に希望だけ述べておこうw。YCAMか福岡のKBCシネマの人、万が一見てたらヨロシク。良く知らないが、SNSで上映希望を受け付けたりとかしてないのかな?

「映画を旅する」は日本各地で開催予定の映画祭をマップにしてくれて便利。ただ、boidの爆音映画祭やアニメーション映画祭などがカバーされていないのは残念。情報が増えすぎると、かえって見にくくなるという欠点もあるが。

 アメリカ映画の現在(川本三郎×渡部幻)で川本が言ってた「中ぐらいの映画」が欲しいという話は、二極分化が進む世界を思うと烈しく同意。人によって「中ぐらい」は上下左右に揺れるだろうが。

「映画よ、憤怒の河を渉れ」は佐藤純彌(→wiki)監督へのインタビュー記事(wikiをみてキイハンターの主題歌「非常のライセンス」の作詞も手掛けていたことを知る)。『ゴルゴ13』のイラン・ロケの話が面白い。『陸軍中野学校』はDVD借りようかな。

 東京のシアター・イメージフォーラムで、ルイス・ブニュエル特集やってるようだ。巖谷圀士×四方田犬彦の対談あり。

 本号には、読者による2017年ベストを応募できるハガキもついている(応募期限はもう切れているがw)。日頃は図書館で済ませるビンボー人も、毎年?1月上旬号は買うべし。



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