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週刊東洋経済6/29号  

 ニュース最前線では官製ファンドINCJと日の丸液晶JDI混迷問題のほか、イラン経済崩壊懸念の話など。ロウハニ大統領は、中国が軍事プレゼンス強化を念頭に建設を進めるパキスタン・グワダル港に対抗するチャバハール港開発(インド主導)に日本の協力を得たい考えとのこと。佐藤優の「知の技法 出世の作法」(p118)では、安倍総理のイラン訪問(→ブログ)について「ハネメイ師に直接、トランプ大統領の意向を伝えることができただけで(中略)米・イラン間の緊張緩和に向けて大きな役割を果たすことができた」とみている。

 特集の「沸騰!再開発バトル」では東京、横浜のほか札幌、名古屋、大阪、福岡でも活況の都市再開発を取り上げる。全国市街地再開発協会というのがあるのか。渋谷駅周辺では東急不動産の新ビルが続々竣工、日本橋では三井不動産が場を提供してライフサイエンス拠点を整備中。

 個人的には、(株価にせよ地価にせよオフィス需要にせよ)オリンピックの後にどーんと急落する、と予想していた(→ブログ:文藝春秋2015年9月号)が、特集記事を担当する一井純によると「21年や22年に竣工するビルにも、続々とテナントが内定している。にぎわいが途絶えることはしばらくなさそうだ」。消費税増税もあるし、どうなんだろうね。

 ほかにはウィーワークの話。このあたりの不動産テックの話は『不動産テック 巨大産業の破壊者たち』で読んだが、なかなか面白い。地方在住者にはまだ縁が薄いが^^;、動向として知っておいて損はない。ただ、ウィーワークみたいなのは一時的な流行に終わりそうな気がするんだが…。
 最近、「都市計画」的な話に目覚めてきたので、全解剖「再開発の仕組み」などは、アウトサイダーにとって勉強になる。

 いまやITやAIというくくりでは漠然としすぎてIT×教育、IT×不動産、IT×土木、IT×食、IT×アパレルみたいに、業界毎に語られる時代になっている。

 福岡で進む「歴史的再開発ラッシュ」関連はなかなか網羅的かつ短くまとまっている。西鉄は本社のあった福岡ビルと天神コア、天神ビブレを一体開発し24年春までに高さ96mのビルに建て替えを予定。港湾部では「ウォーターフロントネクスト」。JR博多駅では「博多駅空中都市構想」。ただし、筑紫口側の開発はこれから検討。
 ブログ:熊本駅で見たように、九州ではほかの都市でもJR駅前の再開発が進んでいる。背景には少子高齢化に伴う高齢者の公共交通回帰やアジアからの観光客増加への期待、若者の自動車離れなどがあるのだろう。

 景気の良い話だけでなく、「再開発に潜む影」と題して日本橋高島屋再開発の舞台裏にある「借地権者水増し」手口や、町井久之(→wiki)のTSKビルの跡地利権に関しても触れている点が、いまの『東洋経済』の良いところ。p90~では「欠席が多い社外役員100人」なんて特集もやってる。今後も企業の提灯記事ではなく、ジャーナリズムの基本を忘れない記事づくりに徹して欲しいものだ。

 第2特集は2020年度必修化が迫るなか、過熱!プログラミング教室。子ども向けプログラミング教室の市場規模は今年114億円→24年に257億円にまで拡大見通し。スクラッチなどを使う小学生向けのプログラミング教室は経験者でなくても始められるが、中高生向けは容易ではないため講師不足が(特に地方で)深刻化しそうだという。NPO法人 みんなのコードも登場。プログラミングはネット上でできるe-ラーニングが普及しているとはいえ、子どもたちが理解を深めるには、人的サポートが必要不可欠だろう。

 グローバルアイでは、オリビエ・ブランシャール(→wiki)による「欧州の財政規律は厳しすぎる」。
『破綻するアメリカ』(→ブログ)の著者、会田弘継が「リフォーモコン」について語っている。これは『破綻するアメリカ』にも登場したNYタイムズの保守派コラムニスト、デイヴィッド・ブルックスらが支援する改革派保守。彼らは大統領候補としてマルコ・ルビオやジェフ・ブッシュを推していたが、トランプ大統領就任によって消散したわけではない。移民政策や自由貿易で相容れないトランプに歩み寄りつつ、「労働の尊厳を基礎とする経済」を主張する一方、新しいアメリカのナショナリズムを打ち出している。

 九大の都市研究センター長、馬奈木俊介による「経済学者が読み解く 現代社会のリアル」第23回。今回は自動運転導入の追加費用がいくらなら許容できるかという話。自動運転普及が自動化に伴う事故リスク・運転疲労軽減によって自動車利用の増加を招き、エネルギー消費が拡大する懸念ありと言う。環境意識の向上が課題だな。

「編集部から」でも少し触れていた、地権者の権利調整に代表される中国のアドバンテージ。中国はいま、トランプ・アメリカとの経済戦争や香港の大規模デモによって旗色が悪くなっているが、一党独裁・全体主義のアドバンテージが揺らぐ気配はない。
 いわゆる「右傾化する欧米日本」というのは、経済的にも軍事的にも超大国となった中国の「国営資本主義/全体主義」の手口を模倣しようとする動きにみえてしまう。歴史的にみると、ロシア革命後に著しい経済成長を遂げたソ連に対し、大恐慌後のドイツは、ナチが政権を掌握してスターリンの全体主義に倣った国家社会主義的政策を掲げた。自由主義を掲げる資本主義の総本山、アメリカでさえ、大恐慌後は共産主義に影響を受けたニューディーラーが台頭した。日本でも同様に、革新官僚(→wiki)が台頭した。
 90年代の日米貿易摩擦では、日本の「異質性」を指摘する声が強かったように記憶する。その「異質性」はある意味、現在の中国に対して欧米が覚える「異質性」と似ている点が少なくない。ただ、当時の日本は欧米の意見を取り入れて、いくつかの産業政策を是正したし、「日本一強」との批判をかわすために、中国や韓国の経済発展を後押しした経緯もある。
 当時の日本と現在の中国の置かれた状況の大きな相違点は、第一に安全保障の問題が絡むという点だ。(80年代にも、日本の産業スパイ疑獄やココム事件があったが)。もうひとつ、状況の相違という点では、欧米メディアにおける「文化多元主義」を含む「政治的正しさ」の普及状況が大きく異なる。
 久しぶりに購入した『現代思想』で、スティーブ・バノン(*)も愛読したと言われる(?)ニック・ランド(→wiki)の『暗黒啓蒙』(抄訳)に目を通したが、ランドは「政治的正しさ」が横溢する「現代のメディアとアカデミズムの複合体」を、メンシウス・モルドバーグ(→wiki:Curtis_Yarvin)にならって、「大聖堂(カテドラル)」と呼んでいる。
 現在のいわゆる「リベラル」(≒大聖堂?)の問題点は、じゅうぶんに経済発展を遂げた中国や韓国の経済ナショナリズムから目を背け、欧米日本の「右傾化」傾向のみを糾弾しているように見えてしまうところだ。
 民主化・自由化・法治主義・人権状況・ナショナリズムのレベルを中国や韓国、北朝鮮、欧米、日本でしっかりと比較してみせることが重要だ。叩き台としてつくった「比較表」をもとに議論や交渉をしたほうが建設的だと思われる。もちろんこれは、中国や韓国に比較してマシだったら何でもやってOKだという意味ではない。

 リベラルは自分たちの理想との比較で日本政府を格付けし、一般人はリアルな近隣国との比較で格付けする。このままだとますます「リベラル」離れが進むことだろう。

 文中敬称略。



(*)たまたま王岐山のwikiを覗いていたら、2017年にスティーブ・バノンと会談してたみたい。

 文中敬称略。

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